第2180冊目 ユマニチュード入門 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著), イヴ ジネスト (著)


ユマニチュード入門

ユマニチュード入門

  • 皮膚から伝わる感覚の情報は場所によって違う


「触れる」ということを、脳の情報伝達の面から考えてみましょう。


カナダの脳外科医ペンフィールドは、ヒトの大脳資質を電気によって刺激し、体の各部位から伝えられる情報とその情報を受け取る大脳の体性感覚野との対応関係を明らかにしました。


この結果にもとづいて描かれたペンフィールドのこびと(ホムンクルズ)は、体の各部分の大きさと、そこからの情報を受け取る大脳の体性感覚野の面積の広さとが対応するように描かれています。したがってその体のバランスは、通常の人間の体とは大きく異なっています。


手や顔、唇からの情報が大脳の体性感覚野に占める割合が大きい一方で、逆に体幹や上下肢からの情報が占める割合は小さくなっています。つまり、同じ力、同じ面積で触れたとしても、それが手や顔であえる場合には、背中に触れる場合と比較すると、より多くの情報が脳に届いているといえます。


ですから体に触れるときには常に、触れる場所によって伝われる情報量が異なることを意識しておくことが大切です。たとえば、ケアを行うときにはいきなり顔や手に触れるのではなく、上腕や背中などの部位から触れることで、ケアを受ける人を驚かすことを防ぐことができます。