第2142冊目 (文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 三枝理枝子 (著)


(文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫)

(文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫)

  • 「君に任せた」と言われるような姿勢とは?


これは得意先を訪問したとある中堅社員の話です。


彼は入社四年目ということで仕事にも自信を持ちはじめましたが、その分、慣れの毒が出はじめたころでもありました。


何度かうかがっている取引先の応接室で担当者を持っていたときのことです。当然、彼は下座に座っていました。そこまではいいのですが、疲れも出ていたせいか椅子にどっしり座り、背もたれに寄りかかりながら足を組んで待っていたそうです。


ちょうどそのとき、担当者が新任の課長を連れては入ってきたので、慌てて姿勢を整えましたが、間に合わず、そのだらしない後ろ姿を見られてしまいました。課長は開口一番、「ずいぶんリラックスしていたようですね」と嫌味たっぷりの薄笑い。


第一印象は最悪です。どんなに誠実ぶっても信用してもらえるわけがありません。そのため、一時間の打ち合わせの約束が一五分で終わってしまいました。当然、OKの返事などもらえるわけがありませんでした。


美しい姿勢を身につけるとうことは決して難しいことではありません。むしろ誰もができるシンプルなことです。


仕事をはじめて、「姿勢がきれいですね」と言われることが多くなりました。私に限らず姿勢の悪いCA、課長の姿は思い浮かばないのではないでしょうか。それは、どんな道を歩んできたかに関係なく、人に見られている職種のプロとして自覚のある人は常に自分の姿勢を意識しているからだと思います。


立っているときは当然のこと、座っているときでも、男性、女性にかかわらず、姿勢一つがその人の人となりを表します。


背筋が伸びている人、猫背な人を比べてみてください。「この人ならやってくれる。任せて安心!」と思ってもらえるのはどちらでしょうか。たいていの人は背筋が伸びている人を選ぶはずです。これは前からだけでなく、後ろから見ても同じことが言えると思います。


まさに自分の武器になるのが姿勢なのです。


いつも背筋を伸ばしているのは一見すると疲れそうですが、慣れると実は一番疲れない姿勢といわれています。背筋を意識することで腰、下腹部に力が入り、鍛えることになりますし、肩甲骨も意識することになりますから、肩こりも緩和されるでしょう。


立ち姿、座っている姿ともに自分がいかに背筋を意識しているからで変わってきます。


健康を維持するためにも魅了を引き立てるためにも、見られていなくても、常に正しい姿勢を心がけましょう。姿勢は意識の表れです。