第2112冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


マドリードでグランビア通りを歩きながら、私は疲労と空腹と孤独を感じていた。おしゃれに鈍感な服装で、自分が酷いアメリカ人の見本みたいだと思えてきた。でも、そういう態度はもちろん自分にとって良くない。そこで、お忍びでマドリードに来た映画スターになりきったのよう。背筋を伸ばし、胸を張って、顔をあげ、王妃ならこんなふうに振る舞うだろうと想像して、すると突然、今の今まで場違いに思えた服装が個性的なファッションに思えてきて、みんなも真似をするに違いないとさえ感じた。そして、通りを歩く私を、人々が振り返るのよ! 男性に道をたずねると、よろしければ案内しましょうと言われる。ほんの一瞬で、私は野暮ったくてみすぼらしいよそ者から、誰もが振り返る映画スターに変わったのよ。


より自信のありそうなボディランゲージをするだけで、周囲に力強い人だと思われると私が説明すると、自信というのは持って生まれる資質か、幼いころの経験で培うものだろうと心配するクラインともいる。ボディランゲージを変えるだけなんて、自信があるふりをしているにすぎない、と。


しかし、ボディランゲージを変えるだけで本物の自信を手に入れることができ、自信が高まっていることをすぐに実感できるのだ。最初は不自然でぎこちなく思えるかもしれない。練習なしでいきなり自転車にまたがるような感じかもしれない。しかし、これらのテクニックを実際に使えば、きっと効果がある。そして使いつづけるうちに慣れてきて、第2の本能と言えるくらいに定着するだろう。