第2094冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 服装とアクセサリー


身につけている衣類やアクセサリーは、その人がどんなことに関心を抱き、どんな仲間をもち、まわりからどう思われたいかを、言葉よりも如実に語ることが多い。ここでは、服装やアクセサリーに触れる行動によって辺縁系の状態がどんなふうに明らかになるかを考えてみよう。服装とアクセサリーを使って自分のイメージを作る方法については、第5章で説明する。


私たちは自分の気持ちをなだめたいとき、または身づくろいをして自分に気づいてほしいとき、衣類や装身具に手をやることが多い。ベルトやカフスボタンを直す、腕時計やブレスレットをもて遊ぶ、上着のファスナーやネックレスやスカーフをいじる、耳たぶやイヤリングに触れる、ネクタイやシャツの襟を整えるなどの行動によって、気を落ち着けようとしているのだ。襟と首のあいだに指を入れて肌から服をそっとはなしたり、首のまわりの髪をかき上げたりして、「換気」することもある。


よく見かける遮断の行動には、ショルダーバックやブリーフケース、ノートなどで胸の前を隠す、両腕を壁のように使う、(ときには前に述べたように)上着のボタンをはめる、上着の前でぐっと引っぱるなどによって、相手から身を守ろうとするものがある。


身づくろいをすることもあり、髪型を整える、肌や服の表面をなでるなどが一般的だ。男性の場合は、生殖器を誇示することさえある(両手の親指を腹の前でベルトの内側に入れ、残りを指の下に向けることによって、優位性を示すしぐさになる)。人前ではめったにしないと思うかもしれないが、私はつい先日も記者会見の席で目にした。会社の役員を取り囲んだ幹部社員のひとりが、無意識のうちにこのポーズをしていたのだ。


健全な人間は身だしなみに気をつかう。身づくろい(ネクタイを直す、糸くずをとるなど)は、自分のみかけをよくして、まわりの人に気付いてもらうための行動だ(鳥も同じことをする)。私は法廷で仕事をする人たちに、特に陪審員が入廷する前には必ず服装を整えるように教えている。服装がきちんとしていると(衣類のしわをのばし、ベルトをしかるべき位置まで引き上げるなど)、「私は心をこめて考えています」というメッセージを伝えられる。だから職場での適切な身づくろいは、大きな役割を果たす。


ノンバーバルを観察する腕前を磨き始めると、日常のあらゆるやりとりのなかで、体のさまざまな部分が語りかけている例が、たくさん見つかるようになる。専門用語など覚えていなくても、ますます細かく観察している自分にすぐ気付くだろう。時間をかけて練習を重ねれば、自分のなかにノンバーバル・インテリジェンスが蓄積され、人と人のあいだにこの無言の会話の意味がどんどんはっきりわかってきて、人の心を読み取れるようになる。みんな、心を通わせたかと思うと、身を引き、また近づいてきたり、急に離れたり、また同じように急に心を開いたりしている。


次の章からは、自分自身のノンバーバル・コミュニケーションの技をマスターしていく。最高の自分を相手に伝える行動を身につけるようにしよう。まわりの人たちからリーダーとみなされ、権限を認められ、心底から信頼してもらえるように。ビジネスの世界では、成功に必要な技能が毎日のようにめまぐるしく変わり、顧客をつなぎとめるという使命がこれまでになく切迫している。だからこそ、最も強く求められているのは、ノンバーバルで効果的なコミュニケーションできる能力だ。