第2138冊目 「権力」を握る人の法則  ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則

  • 頼みごとは案外うまくいく


キース・フェラッジもレジナルド・ルイスも、何かを頼んだときに想定しうる最悪の結果は、断られることだと考えている。そして断られたところで、どうだと言うのだ。初めから頼まない場合と同じ結果になるだけではないか。頼まなかった場合も、頼んで断られた場合も、どちらも欲しいものは手に入らない。だがダメもとで頼んでみれば、少なくとも可能性は生まれる。中には、頼まないより悪い結果になると考える人もいるだろう。そんな大胆なことをすれば相手が気分を害し、「厚かましいヤツ」という悪評が立つ……。だが実際には、めったにそんなことにはならないものである。だから、リスクを冒す価値はある。


頼みごとは、少々大胆でも案外うまくいくものである。キース・フェラッジのケースを学んだ後で私のクラスのある学生は実地に試してみた。この学生はイギリスのコンサルティング会社の社長から直々に声をかけられて採用が決まっていたのだが、そのトップに、年一回のランチを提案してみたのである。すると月一回にしようと逆提案され、メンター役を務めることも向こうから申し出てくれた。またデトロイトコンサルティングで働くローガンの場合には、働きはじめてまもなく組織再編があり、顔も知らない新所長がアトランタ・オフィスに赴任してくることになった。新所長は、挨拶代わりに一人ひとりと三〇分の面談を行うという。そこで、すでに優秀なコンサルタントとして高評価を得ていたローガンは、どうせ昼メシを食べるなら面談はそのときにしませんか、と申し出る。新所長は快くOKし、ローガンはその機会を利用して早くも上司と仲よくなることができた。