第2084冊目 読顔力 コミュニケーション・プロファイルの作り方  簑下 成子 (著), 佐藤 親次 (著)


読顔力 コミュニケーション・プロファイルの作り方 (小学館101新書)

読顔力 コミュニケーション・プロファイルの作り方 (小学館101新書)

  • 目は「今」を表す


「目」や「視線」は、その人の思っていることなど、「今の状態」についての情報を発信するものです。気持ちが落ち込んでいるときには目に力が入らず、視線も下向きになりますが、幸せいっぱいのときは目がきらきらして、視線も柔らかくなります。何かに追いかけられていると思い込んでいる人は追手を探すために目つきが悪くなり、視線が鋭くなります。


職業がわかる場合もあります。「刑事さんの目つきは、ほかの人とは違う」と聞いたことはありませんか。彼らは犯人を捜しているということありますが、聞き込みのときなどは何を意図して聞いているのかを相手に悟られないようにわざと視線をはずしたりしています。


また、目の動き、おもに眼球の動きで何を考えているかがわかります。


例えば、過去の経験のついて訊かれて答えるとき、眼球が左に動いているときは過去の記憶にたどっていて、右に動いているときは新しい情報を探していることが多いのです。


左に動いているときは、ほんとうの経験を語っているといえます。いやな過去を思い出したときも左側に目が動きます。右側へ動くときは嘘をついている場合もあります。


「アイコンタクト」によって自分思いや意図を伝えることはよく知られています。


人は意図的に相手と視線を合わせたり、わざと視線をはずしたりすることで、相手の反応を見ることがあります。


じっと見つめることで、相手に興味があることを伝えることができ、視線が合ってもわざとはずすことで「あなたには賛同できない」と伝えることもできます。相手が話す内容の区切りのよいところでまばたきをすると「話をきちんと聞いていますよ」というサインになります。

  • 口はその人そのものを表す


このように、目はその人の言いたいことやさまざまな思いを伝えています。では、その人の「状態」を発している顔のパーツはなんどと思いますか。私は「口」特に「口元」だと考えます。


顔には、筋肉の動きの組み合わせでさまざまな表情を生み出す四十四の表情筋(顔面筋)があり、その多くは口の周りに集まっています。


「口」は物を食べる、会話をするということにも使われますが、目とともに表情を作るのに重要なパーツです。


不満があると口がへの字になっていたり、強く何かを決心したり、がまんをしなくてはいけないときは、唇を一文字に結んでいたりなど、「口」「口元」は感情が表れやすいパーツでもあります。


何か言いたいことがあるとき、口元がもぞもぞと動きだす人もいます。言いたいことがうまく言い出せなかったり、言ってはいけないことを言いそうになったりしたとき、口を手で隠している人もよく見かけます。


自民党政権末期、麻生太郎首相の右側の口角が上がって、顔がゆがんでいく状況が毎日のニュース番組で確認できたことは記憶に新しいのではないでしょうか。


ストレスがたまると表情筋の動きがアンバランスになり、顔の左右の非対称の度合いが進みます。いろいろな問題が起きて自民党の支持率が下がったことで、強いストレスが彼にかかっていたため、右の口角だけがどんどん上がり、逆に左側は弛緩しはじめ、口角が下がっていったのだと思われます。


口元は、強いストレスがかかっていたり、喜びにあふれていたりといったような、今のその人の状態を表すだけでなく、その人、そのものの性質をも表します。


「口元がだらしない人は異性関係にもだらしがない」といわれます。口元がしっかり閉じていなかったり、口が中途半端に開いていたりすると、見ていて落ち着きません。それが異性にとっって、魅力的に映り、守ってあげたいと思わせるのかもしれません。


また、嘘をつく人に多い「浅薄な表情」とは、口元の動きの少ないイメージがあります。イケメンで、人気女優を妻にして話題になり、最近トラブルを起こした俳優も、私の中で目の印象は強いのですが、口元の記憶が薄い。「唇」というパーツが移しのではなく、口を大きく動かして話しているイメージがまったくないのです。存在自体を思い出せないくらいです。それは表情筋の動きが少ないので口自体の印象が薄くなっているからです。