第2032冊目 ドラッカー流 最強の勉強法 (祥伝社新書) 中野明 (著)


ドラッカー流 最強の勉強法(祥伝社新書207)

ドラッカー流 最強の勉強法(祥伝社新書207)


コミットメントの方法


自分が将来とる行動を明らかにし、必ず実行すると約束したものやその行為を、コミットメントと呼ぶ。また、そうした約束をすることを「コミットする」と言う。目標を何かに書きとめるというのは、自分の将来とる行動についてコミットしているのに他ならない。そしてその目標が書きとめられたものはコミットメントである。


目標をコミットする方法には多様な形態がある。最も一般的なのは手帳に書き込むことだろう。また、ドラッカーのように、目標とその結果のみを記す独立したノートを用いる手もあろう。それから、年間スケジュール帳を利用しているのならば、ページの一定スペースを、目標記入ページにすればよい。これなら目標の表現形態により、約束力や信頼力が高まったり低くなったりする。


ミスコピーの用紙裏に走り書きしたコミットメントの信頼力はあまり高くない。一方、わざわざ勝ってきた画用紙にコミットメントを清書してリビングに張り出すとともに、奥さんに目標とする成果を宣言したとする。このコミットメントは、手帳にこっそり書き込んだコミットメントよりも信頼度は非常に高い。


公にしたコミットメントは、それが本当に達成されるのか衆目に監視されることになるからだ。逆に、手帳の角に書き込んだコミットメントは、達成できなくても誰にも怒られないし恥もかかない。よって、簡単に反故にできるだろう。


このようなことから、目標のコミットメントは、私的に秘すよりもオープンにする方が、その拘束力は明らかに強くなる。奥さんから「またまたコミットメントどおりにいかなかったわねぇ」なんて言われて、平気でいられる人はそうそういないだろう。俄然、目標達成を目指して努力することになる。


つまり、コミットメントをオープンにするということは、退路を断つことに他ならない。これは目標を達成するための力強いエンジンとして働く。


とはいえ、逃げ場がなくなり、にっちもさっちも行かなくなることもある。これをホールドアップと言う。


たとえば、「3ヵ月で行動経済学が極められなかったら、もう小遣いはいらない」などという恐れが多いコミットメントは、宣言したその途端にお手上げになるのが目に見えている。


「ゴメン、あれはウソだったんだ」などと言うと、次回からのコミットメントの信頼度は大幅に下落させざを得ない。


目標は高くあるべきだ。しかし不可能な目標では意味がない。そのあたりを勘案し、なるべくコミットメントをオープンにして、目標達成のエネルギーに変えたい。もちろんホールドアップには十分配慮しての上ではあるが。