第2022冊目 一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか? [単行本(ソフトカバー)] オリ・ブラフマン (著), ロム・ブラフマン (著), 林田レジリ浩文 (翻訳)
一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?
- 作者: オリ・ブラフマン,ロム・ブラフマン,林田レジリ浩文
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2013/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 顔を合わせる回数が多いほど魅力が増す
誰かに会って、すぐに親しげに言葉を交わすこともあるが、時にはまったく言葉を交わさぬこともある。
いつも駅で会う女性となんとなく視線を交わすこと、郵便局の局員に会釈することはないだろうか。
心理学ではこれを「受動的コンタクト」と呼んでいる。
こんな相槌や会釈でも我々の意識の中にはしっかりと入っていて、研究によると、会釈を交わせば交わすほど、我々は相手に好意を感じることがわかっている。
ピッツバーグ大学のモアランドとビーチの2人の教授が、ある大学の大講堂で1学期にわたって研究をしたことがある。
同じ年齢で似たような容姿の4人の女性を選び出して、実験前にまず彼女らの魅力度を学生たちに採点してもらう。この時点では女性たちの点はほぼ同じようなものだった。
次にこの女性たちに、200人の聴講生がいる授業に出てもらう。
1人の女性には15回の授業すべてに出てもらい、2人目には10回、そして3人目には5回だけ出席してもらった。4人の女性は授業に出席しなかった。
彼女たちは毎回、授業がはじまる数分前になると、ゆっくりと学生たちの前を歩き、いつも目立つ場所に席を取った。
そして授業が終わると、彼女たちはゆっくりと講堂から出て行く。
彼女たちは、誰とも言葉を交わすことも許されなかった。誰かから話しかけられたときも無視することを求められた。
もちろん、ほかの200人の学生たちにはこんな実験が行われていたことは内緒だ。彼ら、彼女らは、女性たちが授業に出席しているのは知っているかもしれないが、それにしてもこれだけの規模のクラスでたった数人の女性を意識することがあるのだろうか。
1学期が終わったあと、学生たちは4人の女性たちの写真を見せられ、彼女たちを見たことがあるかを聞かれた。
彼女たちの誰か1人でも見覚えがある、と答えたのは10分の1にすぎなかったし、そう答えたのもでさえ、どこで彼女たちを見かけたのかは覚えていなかった。
つまり「受動的コンタクト」はまったく意識されていなかったのだ。
しかし潜在意識ではまったく話は別だった。
教条たちは、学生たち4人の女性たちそれぞれについて、評価してもらった。項目は、いっしょにいて楽しそうか、知的か、魅力的か、温かそうか、誠実そうか、などだ。
ここで、彼女たちはだいたい同じような評価をされていたことを思い出していただきたい。
しかし、1学期間、同じ授業をとった学生たちの評価に、大きな変化が起きた。
端的にいうと、授業に多く出席すればするほど、彼女たちは学生たちに魅力的に映っていた。
15回すべてに出席した女性と、まったく出席していなかった女性の差は大きく広がっていたのだ。
たいていの者は女性たちを覚えてさえいなかった。しかし潜在意識では、彼女たちを見れば見るほど、その魅力度は増していったのだ。
教授の1人は語る。
「単に『目に触れる』ということが好感度をこれほど上げるということには驚くばかりです。私たちは、『見覚えがある』と思っていなくても、『なんとなく感じがいい』と思ってしまうのです」
言葉を変えると、ある人を見たことがある、ということを潜在意識は覚えていて、好感を覚えるように私たちはできているのだ。
次の学生たちにこんなことも聞かれる。
「この女性と知り合いになれたとします。あなたが彼女と仲良くなれる確立は0から100でどのくらいあると思いますか」
まったく授業に出なかった女性と、出ても5回だけだった女性のスコアはそれぞれ41と43だった。
それに比べ10回出たものは57、15回出たもののスコアは60だった。
ただ顔を多く出したというだけで、女性たちの魅力度が増しただけでなく、その親しみやすさも大きく上がった。
近くにいるというのは、これほど大きな力を持つものなのだ。
ここまでのことが教えてくれるのは、我々は、物理的に近くにいる人と友情を育みやすいということだ。たとえ「受動的コンタクト」であっても大きな影響力を持つことになるのだ。
「慣れすぎは軽蔑を生む」という諺は正しくないようだ。逆に「慣れすぎは注目を生む」もののようだ。
研究で明らかになったことを踏まえると、我々はなんでも電話やメールで終わらせるのではなく、極力顔を突き合わせて話すことが大切のようだ。
パーティで気になる人があれば、遠巻きに眺めているだけでなく、できるだけその人の近くに行くべきなのだ。