第2005冊目 仕事で差がつく 根回し力 (青春新書インテリジェンス) [新書] 菊原 智明 (著)


仕事で差がつく 根回し力 (青春新書インテリジェンス)

仕事で差がつく 根回し力 (青春新書インテリジェンス)

  • 相手が話しやすい雰囲気を、戦略的に演出する


会社の全体会議で発表する、大勢のクライアントの前でのプレゼン……などなど、人前で話をするのは緊張するものです。


以前の職場で、私も「今日の一言」という1分間スピーチを定期的にやらされていたことがあったのですが、5〜6人の前でさえガチガチに緊張していました。


独立して営業コンサルタントになって、人前で話す機会が多くなった私ですが、いまだに緊張します。


その時に一番してほしい根回しがあります。


それはあなたの話を真剣に聞いていますよ、というリアクションをしてもらえることです。


そういった人が一人でもいると本当に助かります。


ある会社の研修をしていた時のことです。


20名ほどの営業マンが参加していました。


研修がスタートして10分くらい経ったころでしょうか。


一人の営業マンが大きくうなずきながらメモを取っていることに気がつきました。


こういった人が一人でもいると、とても話しやすくなります。


気持ちの乗ってくるので、最後までスムーズに話をすることができました。


研修後にその営業マンと話をしてみると、彼はやはりトップレベルの営業成績を残していると言います。


彼に限らず、どの会社でも話を感じよく聞いてくれる人は成績がいい傾向にあります。


人によって、無意識にうなずいている人もいますし、


〈そうしたほうが話しやすいだろうな〉


と考えて、意識的にやっている人もいます。


いずれにせよ、〈この人がいると話がしやすいな〉という雰囲気を醸し出してくれる人は、仕事でもいい結果を出していることが多いのです。


逆のケースもあります。


研修をスタートさせたものの、誰一人として好意的に聞いている感じがしません。


参加者の中にはうつらうつらと居眠りする人もいれば、眉間にしわを寄せて腕組みをしながら聞いている人もいます。


こういった人が目につくと、とたんに話しにくくなります。


リズムが悪くなり、ますます緊張してしまうのです。


こういった人たちに研修後、


「今日の話はわかりにくかったでしょうか?」


と聞いてみたことがあります。


すると、


「いえいえ、菊原さんのことは昔から知ってしまして、ぜひ直接お話を聞きたいと楽しみにしていました」


とうれしいことを言ってくれたりするのです。


私はお礼を言いながらも、


〈だったら、もう少し話しやすい雰囲気を出してくれよぉ〜〉


と心の中で思いました。


彼らの自分の聞く態度が人に威圧感を与えていることにまったく気づいていません。


悪気はないのでしょうが、話している人に対する気づかいが少し足りないのです。


どの業界でも、結果を出している人は相手が話しやすい雰囲気を持っています。


緊張している相手がラクになるような根回しができる人は、誰からも愛されるのです。