第1994冊目 図解 たった3分で人を引きつける「話し方」 (知的生きかた文庫) [文庫] 箱田 忠昭 (著)


図解 たった3分で人を引きつける「話し方」 (知的生きかた文庫)

図解 たった3分で人を引きつける「話し方」 (知的生きかた文庫)

  • 好かれる一番の近道は「相手に似せる」こと


どうやったら相手に似せることができるのか。まずは、相手のまねをすること。相手をよく観察し、同じような言動をとればいいのである。


たとえば、来客があったとする。そのお客様は急いできたらしく、汗を拭きながら「今日は暑いですね」と言う。ところが、あなたは冷房の効いた部屋にいたため、あまり暑さを感じていない。そこで、「そうですか。昨日より気温は低いはずですが」と返したら、お客さまはどう思うだろう。


こんなときは、「ほんとうに暑いですね。クーラーの効いているこちらの部屋へどうぞ」と、相手に合わせることが大切だ。そうすれば、お客さまはあなたに好感をもつのである。この相手に合わせる技術を「ペーシング」という。共感ゾーンをつくるために有効なテクニックのひとつである。

  • 仲のいい恋人ほど、動作も似ている


ペーシングには、三つの基本テクニックがある。一つ目は、相手の動作を鏡に映し出すように、自分も同じ動作をする「ミラーリング」である。


かつて、ある心理学者が喫茶店で向かい合う仲のよいカップルを観察したところ、ふたりの動作が一致していることに気づいた。


彼が身を乗り出せば彼女も身を乗り出し、彼女がコーヒーカップに手を伸ばせば、彼もカップを手にする。それは、あらかじめ打ち合わせをしていたのかのように、ピタリと一致していたというのだ。


ふたりとも意識せずに、ボディランゲージを合わせ、お互いの動作を真似し合っていた。その結果、お互いがますます相手を好きになっていったのである。


これを意識的に行う技術が、「ミラーリング」である。

  • 鏡に映し出すように「ソックリ真似する」


ミラーリングのコツは、とにかく相手と同じ動作をすること。相手がお茶を飲んだら自分もお茶を飲み、相手が窓の外に目を向けたら、自分も窓のほうに顔を向ける。


姿勢や身振り、手振り、座り方や立ち方、足の位置や手の置き方など、見えるところをすべて合わせていく。同じ動作を繰り返していると、相手は無意識に「この人はなにか自分に近い」「気が合いそうで心が落ち着く」という思いを積み重ねていく。


実は、私もかつて、このテクニックを使って、仕事上のトラブルを解決したことがある。相手にお詫びをするとき、それとなく相手の動作をまね、相手の感情を和らげたことが功を奏し、問題はすんなりと解決に向かった。その効果は実証済みである。


ただ、あまりに露骨なまねは逆効果だ。相手に気づかれずに、動作のテンポやリズムを同調させることが重要である。

  • 「同じ口調」が人を安心させる


三つ目が、相手と同じ話し方と、トーンを合わせる「マッチング」である。声の大小や高低、話す速度、使う言葉など、すべてを同じように合わせるテクニックだ。


幼稚園や保育園の先生が幼児に話しかける姿を想像してほしい。しゃがんで子どもたちと同じ目の高さとなり、「ブーブーに乗ったの?」などと、言葉づかいも、自然に子どもたちと同じ口調になるはずだ。これがマッチングの基本である。


ポイントは口調を合わせることで、ゆっくりていねいに話す人に対してはゆっくりと話し、早口の人と話すときは意識してテンポをあげる。センテンスの長短、用語、表現方法なども合わせる。


相手が専門用語や外国語を多用するなら、自分も専門用語や外国語を意識的に用いて会話を合わせる。相手がくだけた口調なら自分の親しげに、相手がていねいな敬語を使うなら、自分もきちんとした言葉づかいで話す。