第1971冊目 ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果 [単行本] ゲアリー・ケラー (著), ジェイ・パパザン (著), 門田 美鈴 (翻訳)


ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果

ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果


「いま」に向けた目標設定


私が目標設定について教えるときは、まず第一に、目標と優先事項がいかに一体となって働くかを示す。そして、「私たちはなぜ目標を設定し、プランを作成するのか?」と質問する。いろいろな答えが返ってくるが、実は、目標や計画を立てる……理由はただ一つ、人生の重要なときに適切に行動できるようにするためだ。


私たちは過去からやってきて未来を予想するとしても、唯一の現実は、いまこの瞬間だ。「いま現在」がすべてである。過去はかつての「いま」、未来はこれから起こりうる「いま」でしかない。この点を十分納得してもらうために、私は効果的な優先事項を考え出す方法を「『いま』に向けた目標設定」と呼ぶ。


将来、目覚ましい成果をあげる秘訣は、効果的な瞬間を一つずつつなぎ合わせることにあり、それが成功の実態だ。ある瞬間に行うことが次の瞬間に経験することを決める。「現在のいま」とすべての「未来のいま」は、そのときに拠り所とする優先事項によって決定される。


何を優先するかを判断する際に決め手は、現在の自分と未来の自分との戦いにどちらかが勝つということだ。


もし今日の一〇〇ドルと未来の三〇〇ドルのどちらを選ぶかと言われたら、あなたはどちらを選ぶだろうか? 当然、三〇〇ドル? あなたの目標ができるだけ多くのお金を手に入れることであれば、そうするだろう。しかし不思議なことに、おおかなの人が異なる選択をする。


人は〝将来〟の報酬より〝いま〟の報酬を好み。将来の報酬のほうがはるかに大きい場合でもそうだ。だから、正しい優先事項を設定し、目標へと近づくためのシンプルな考え方が必要になる。「『いま』に向けた目標設定」がそこに導いてくれるはずだ。将来の目標を設定し、そこから順々に逆算して、いま現在、何をすべきかにたどり着くようにするのだ。


これはロシアのマトリョーシカ人形にちょっと似ている。「いま現在」の「一つのこと」が今日の「一つのこと」の中に入っていて、その外側に今週の「一つのこと」、その更に外側に今月の……というように、入れ子の状態でつづいていく。こうして小さいものから大きいものを築きあげることができる。


あなたはいま、あなたのドミノを並べているのだ。


図24を読みとばさず、全部ちゃんと目を通してほしい。なぜか? それは、これがどのように考えるべきか、一つの目標を時間をかけて次の目標にどのようにつなげるべきかについての心の訓練であり、それによって、まさに「いま現在」しなければならない最も重要なことがわかってくるからである。


あなたは、いかに大きく考えるか――しかし、いかに小さく的をしぼるか――を学んでいるのだ。その真価を確認するには、試しにあいだのステップをとばして自分に問いかけてみるといい。


「将来の目標のために、いま現在、私ができる『一つのこと』は何か?」。


これではうまくいかない。現在のこの瞬間があまりにも将来から遠く離れていて、カギとなる優先事項がはっきり見えてこない。


実際、今日、今週、等々を後ろに追加しつづけることはできるが、全ステップを加えるまでは、求めている効果的な優先事項は見えてこないだろう。だから、大部分の人がなかなか目標に近づけていないでいる。彼らは今日を、目標に達するために必要な明日につないでいないのだ。


今日を明日につなぐこと、それが肝心だ。


人は自分がなしとげられることについて楽観的になりすぎる傾向がある。そのため、プロセス全体を考えない。プロセスを思い描くこと、すなわち大きな目標をいくつかのステップに分けて考えることが重要なのだ。


重要な考え
1.「一つ」しかないはず――最優先事項とは、最も重要なことをなしとげるために、まさにいま実行できる「一つのこと」である。多くの「優先事項」がるかもしれないが、深く掘り下げれば最も重要なものが一つ見つかる。それが最優先事項、つまり「一つのこと」なのだ。


2.「いま」に向けた目標を設定する――将来の目標を見定めることが第一歩だ。そして、これからの全行程のステップを突きとめれば、クリアに考えることができ、いまなしとげるべき正しい優先事項が明らかになる。


3.紙に書く――目標を書き出し、それを常に手元に置いておこう。