第1248冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール [単行本] ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・イェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール


練習を習慣化する「月曜の朝のテスト」


私たちがワークショップを開くときには、テクニックの学習と練習によって「月曜の朝のテスト」に合格してもらうことをめざす。私たちの指導が、月曜の朝いちばんで使って効果があるくらい明確かつ具体的でなければならないと思っている。月曜の朝のテストに合格する鍵は、大された理想などではなく、すぐにとれるいくつかの行動だ。コーチやトレーナーといった、すでに定期的に意図的な練習に取り組んでいる人たちにとっては、本書のアイデアが実際に利用できることは明白だろう。では、法律事務所のパートナーや、企業の部長、非営利機関の理事、校長、雑貨店の経営者、あるいはこれまで定期的に練習してこなかったことで上達したい人はどうか。仕事や組織、人生に練習の力を取り入れるには、何から始めればいいのだろう。「上達すること」に上達するためには、どうやって始めればいいのか。


以下を参考にして、応用と実行について考えてもらいたい。数々の状況に当てはめられる具体的な行動と手法なので、月曜の朝からさっそく使える。私たちのルールを実行に移すとどうなるか、3つのシナリオを説明しよう。


最初のシナリオは、組織のリーダーやマネジャーとしてどのようにルールを適用するかだ。2番目は、同僚や部下、小グループに通用するとき。そして3番目のシナリオは、個人がいまの仕事や分野で成功するために、ルールをどう使うべきかを提案する。


「組織」の月曜の朝


組織のリーダーやメンバーが練習の力で人々を成長させたいと思うなら、月曜の朝いちばんに次のルールを使ってみよう


ルール2最大の価値を生む20パーセントに集中して取り組む


このルールを使って、結果の80パーセントを生み出すいくつかの重要なスキルを特定し、それを組織の人々に習得させる。仕事に当てはめるスキルをどうやって見つけるのかわかならければ、同じルールのもうひとつのコンセプト「集団の知恵」を活用する。従業員に調査をおこない(月曜の朝いちばんでメールの下書きを作る)、次の質問をして、午後3時までに返信するよう求める――「成功するために私たち全員が持つべき最重要のスキルを3つあげてください」。科学的根拠はないが、練習を始めるのには充分な回答が得られるだろう。そのうえ、いつの間にチームが協力している。会社や組織に規模によって、さまざまな回答があるだろうが、そこから練習すべきトップ3を絞りこんでいける。


ルール10スキルを分離して個別に練習する


組織で最も大事なスキルが「顧客と効果的にコミュニケションをとること」だったとしよう。ここからはリーダーの役割で、練習のために大きなスキルを分解していく。成功にもっとも重要な管理スキルは? 「顧客と効果的にコミュニケーションをとる」ためにいちばん練習しなければならない個別のスキルは? 分離するスキルは、たとえば、アイコンタクト、プレゼンテーションの的を絞ること、うなずいたりメモをとったりする(アクティブ・リスニング傾聴)のようなことかもしれない。意図的に練習できる小ささまで、スキルを分解する。


ルール11スキルに名前をつけて共有する


それぞれのスキルに、組織内の全員によって意味がある名前をつける。あることに名前がついて個別化されると、されについて話せるし、手本を見せたり、練習させたり、フィードバックを与えたりすることもできる。指導と練習のために、どのスキルに名前をつけるか考えよう。


ルール16事前にすべきことを伝える


目のまえに正しいスキルがあり、すでに名前もつけた。リーダーとしては、事前にすべきことを伝えるときだ。スキルだけでなく、人前で練習してフィードバックを受ける意欲についても、手本を示す。取り組もうとしていること(たとえば、アクティブ・リスニング)をチームに伝え、「顧客」と打ち合わせの練習やロールプレイでそれを実演する。スキルについてフィードバックを求め、フィードバックを取り入れながらまた練習する手本を示す。


月曜の朝を越えて


組織を1日でがらりと変えることはできない。次の議論のなかのルールを使って、組織内での練習を改善しつづけてほしい。


あまり練習になじみのない組織の場合、人々の抵抗があると思っていたほうが無難だ(ルール32練習の障害を打ち破る)。そんなときにかならず役立つのは、リーダーみずから練習に意欲を見せて、手本を示すことだ。従業員がさまざまな理由で練習をためらう場合や、特定の個人がとりわけ抵抗しそうな場合にも、リーダーの手本が役立つ。ある人たちにとっては、人前で練習することがとくにむずかしいかもしれない。ならばまず個人で練習させればいい。変わることに疑いを持っていたり、抵抗したりする人もいるだおる。彼らにはプロセスを信頼してもらい、実際に練習してうまくいったこと、むずかしかったことをフィードバックしてもらう。そうして練習を続けることで障害を壊していく。なんらかの障害が生じることを想定しておいて、チームに克服させる。ルール32で見た、練習を避ける巧妙な方法に目を光らせておく。


加えて、仲間同士で初めてフィードバックのやりとりをするときには、ルール28(フィードバックを日常のことにする)を使って、「よかったと思う点は……」や「次にやるときには……」というふうに話しはじめる。フィードバックは(手本やわかりやすいガイダンスを通して)、正確でくり返しが可能なものでなければならない。「いい人」であることを克服し、組織の改善のために、怖れず本当のフィードバックを与える。


最後に、練習の目標を見失わず、みんなが張りきって取り組むような楽しい練習を創造力を発揮して考案する。練習中は部署間で仲よく競争して、互いに応援し合う。すると本番でも、仲間同士の支援とチームワークを見ることができるだろう。