第1230冊目 ブライアン・トレーシーが教える年収を自分で決められる人になる方法 [単行本]ブライアン トレーシー (著), Brian Tracy (原著), 勝間 和代 (翻訳)


ブライアン・トレーシーが教える年収を自分で決められる人になる方法

ブライアン・トレーシーが教える年収を自分で決められる人になる方法


「専門」の何たるかを学んだ私のコピーライター経験


あれは私が22歳のときだった。私は定職がなくて心細かったので、ある日広告会社が求人広告を出していたコピーライターの仕事に応募した。実をいうと私は高校時代、国語で落第点を取っていた。コピーライターが何をする人か知らずに応募したのだ。私は広告会社の重役と面接したときのことを今でも覚えている。彼は私がその仕事にふさわしくないことを実に上手く説明した。


しかし、面接を受けている最中に私のなかで何かが起こった。広告の文言を書く仕事について考えれば考えるほど、その仕事をやりたくてたまらなくなったのだ。面接できっぱり断られたあと、私はその分野について学ぼうと決意した。


私は市の図書館に行き、広告とコピーライティングに関する本を借りた。当時私はデパートでアルバイトをしていたが、それから6ヵ月にわたって夜と週末をそうした本で学ぶことに費やした。知識が増えてきたところ、私は市内のいくつかの広告会社に採用願いを出した。最初は小さな広告会社から始めた。そこで不採用を告げられたとき、私はその理由を聞いてみた。申し込み書類にどこか不備があったのか? もっと学ばなければならないのはどんなことか? 読むべき本は何か? そして今でも、私と話をした人のほとんど全員が協力的で、有益なアドバイスをしてくれたことを覚えている。


6ヶ月が終わることには、図書館にあった広告とコピーライティングの本をすべて読み終え、市内の一番小さな広告会社から一番大きなところまで、すべての広告会社と接触した。そこまでやったころには私にも準備ができていた。国内ナンバー1とナンバー2の広告会社からコピーライターの助手の仕事のオファーが届いた。私はナンバー1のところに就職し、その6ヶ月後には巨大多国籍企業の広告を手がけるまでになった。


この体験談で私が言いたかったのは、ほぼどんな仕事でもあなたがその仕事に精通し、得意になるのに必要な知識は、ほとんど何でも学べるということだ。あなたはただ、どのスキルを専門的に学ぶ必要があるのかを決めるだけでいいのだ。それを決めることが収入アップとさらなる成功への戦略なのだが、多くの人がこの戦略を見過ごしている。


私はコピーライターになった数年後、不動産開発の仕事をやってみようと決意した。それ以前に家やビルを建てた高校時代の友人などから話を聞いていたのだが、彼らは大金を稼いでいた。私もその仕事をすれば、お金を稼げるのではないかと思ったのだ。コピーライティングに非常に役立ったのと同じ戦略を使い、私は市の図書館に行き、不動産開発に関する本を次から次へと借りた。当時は私にはお金もなかったし、コネも業界についての知識もなかった。しかし私は、こんなすばらしい秘訣を知っていた。


「どんな分野であれ、成功したいと心に決めた分野なら、そのために必要なことは学ぶことができる」


6ヵ月後、私は100ドルの手付金と30日のオプションで1区画の土地を確保した。私はショッピングセンター計画を練り、二つのアンカーテナント(核店舗)といくつかのマイナーテナントから仮の承諾を得た。それらのテナントで、私が計画していた面積の85%を占めることになる。


次に、このショッピングセンター計画の75%を大手不動産開発会社に売り渡した。私の計画と引き換えにその会社が資金をすべて出し、私がショッピングセンターの建設と賃貸契約をやり遂げるのに必要なリソースと人材を私に提供することになった。私がやったこととは、ほとんどすべてが地元の図書館になった不動産専門家の著書で学んだことだった。


あなたももう気づいたかもしれないが、コピーライティングと不動産開発はまったく異なる分野だ。しかし、この二つの経験を初め、私はその後のキャリアには一つの共通点がある。どの分野での成功も、二つの決断から生まれているのだ。


一つは、何かの分野を専門にしようと決めたこと。二つ目は、その分野でいい仕事ができるように、その分野にものすごく詳しくなろうと決めたことだ。