第1214冊目  小泉進次郎という男 [単行本] 別冊宝島編集部 (編集)


小泉進次郎という男

小泉進次郎という男


言葉を磨く努力


ぶら下がり取材(記者が取り囲んで行う取材)を拒否する政治家が増えている中、進次郎は必ずぶら下がりに応じることは、記者の間で有名だ。


「私は、ぶら下がりというのを非常に大事にしているんです。実は、自分を鍛えるいい機会なんですよ。ぶら下がりって突拍子もない質問もしょっちゅうきますね。瞬発力も必要です。政治家は言葉が命ですよ。どう発信していくか。とっさに聞かれて、どう答えれば伝わるのか、自分の考えはどうなのかって、自問自答してすぐに答えなければならない。だから鍛えられるんです」


進次郎はそう語っている。


その瞬発力のすごさを物語る場面がある。2012年12月16日の衆院選の選挙特番『池上彰の総選挙ライブ』(TXN系)でのこと。当確を決めた進次郎に対し、司会の池上彰がこう投げかけた。


「小泉さんの応援演説は、それぞれの地域に行くと、それぞれの方言を使って話しかけていますよね。これ、ちょっとあざとい戦法だなとも思えるんですが」


意地悪ともとれるこの質問に、進次郎は「これは通用する地域と、通用しない地域があるんです」と前置きしたうえで、池上の挑発をこう返している。


「今、池上さんと話してても1分間自分の考えを話す時間はもらえませんよね。10秒で興味を持ってもらうために(方言)も必要なんです」


また、スタジオにいる峰竜太の、「小泉進次郎さん、すごくお話が上手ですが、芸能界でいうところの『作家』がついているんですか?」という挑発には、


「スピーチライターのことですか。いたら雇いたいぐらいですよ。自分で、ない知識を絞っています。しいて言えば最近、落語っていうのは勉強になるなと思っています」


と、まさに圧巻の返し。司会を務めた池上彰は、後に雑誌のインタビューで、


《今回インタビューした政治家の中で、私の質問に対し、最初から最後まで誤魔化すことも、感情の起伏も見せず、きちんと対応したのは、自民党小泉進次郎候補ただ1人でした。若いのに、大したものです。》


と、高く評価した。


進次郎は以前、自民党の機関誌でのインタビューで、言葉の重みについてこう語っている。


「父は日本語に厳しくて、今でも辞書を引いている姿をよく見かけます。それが染まったのか、自分も、分からない言葉があったらすぐ辞書を引く癖がつきました。たった一語の失敗で、政治家生命を失うこともあるわけですから、言葉の重みを常に意識したいと思っています」


背景には父・純一郎の教えがあったという。彼もまた、オフレコがない政治家だったことで有名である。


「小泉(純一郎)さんは失言と思える発言も数多くありましたが、支持率にはまったく響いていない珍しい政治家でした。支持率に響いていないということは、それは失言ではないんです。だから小泉さんは、失言のなかった政治家ということになりますね」(政治評論家)


たった一言で政治生命を絶たれる議員が多い。しかし言葉の重みをわきまえている進次郎は、少なくとも失言で永田町を去ることはないだろう。


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