第1203冊目 一瞬で自分を変える法 (知的生きかた文庫) [文庫] アンソニー・ロビンズ (著), 本田 健 (翻訳)
- 作者: アンソニー・ロビンズ,本田健
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2012/05/23
- メディア: 文庫
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「ミラーリング」で相手の警戒心を解く
ラポールを築くには、まず共通点を見つけることから始める。NLPの用語ではこれを「ミラーリング」、または「マッチング」と呼ぶ。
他人との間に共通点をつくる方法は、いろいろある。たとえば、服の好み、趣味などを意図的に合わせたり、共通の友人を通じて信頼感を深めたり、相手の信頼を模範にするのもいい。共通の経験があれば、友情が深まり、恋愛関係にも発展する。
これらすべてに共通しているのは、言葉によって伝達されることだ。ところが、研究の結果、対面コミュニケーションでは、相手があなたの言葉から受け取るメッセージは、全体のわずか七%にすぎないという。
そして、三八%は声の調子によって伝えられる。私が子どもの頃、よく母は「アンソニー」と、声を荒げたものだ。そこには私の名前以外にいろいろな意味が込められていた。
そして、コミュニケーションの五五%、つまり半分以上は外見やボディランゲージによって伝達される。顔の表情、身振り、動きの種類によって伝えられる内容のほうが、言葉で伝達される内容よりも、多くの情報を含んでいるのだ。
つまり、ラポールを築くための、もっとも有効な手段とは、外見を真似することなのである。
この手法を確立したのが、催眠療法の大家、エリック・ミルトン博士である。彼は、相手と呼吸、姿勢、声音、身振りを同調させることで、短時間で相手との間に完璧なラポールを築くことができた。初めて会った人でも、すぐにミルトンのことを信頼するようになる。
言葉は意識に働きかけ、外見や態度などは無意識の部分に働きかける。脳が、「おや、この人は自分に似ているな。それなら大丈夫だ」と思うのも言葉や外見、態度である。
一度そうなると、大きな魅力を感じ、強い絆が生まれる。無意識につくられるものであるがゆえに、つながりはさらに強くなる。
まず、最初に合わせるべきは、声である。声の調子、言葉の区切り方、声の高さ、話す速度、間の取り方、声の大きさなどを正確に合わせる。
口癖を真似てみるのもいい。姿勢や呼吸パターン、視線の合わせ方、顔の表情、身振り手振り、その他の目立った動きも真似てみる。立つ時の足のふんばり方から頭の傾け方まで、あらゆる点で鏡になったつもりで写し取る。
相手のすべてを写し取った時、どうなるか。その時、人は運命的な出会いを感じる。すべてを相手に合わせると相手も不自然に思うかもしれないので、声の調子と顔の表情を相手に合わせるだけでもいい。驚くほどの信頼関係を築けるだろう。
今日から数日間は、会う人ごとにミラーリングの練習をしてみよう。身振りや姿勢をさりげなく真似てみるのだ。
呼吸の速さと深さ、声の調子、話すテンポ、声の大きさも相手に合わせてみよう。相手はあなたに親しみを覚え、あなたも相手に親しみを覚えるだろうか。
相手に外見を合わせると、その人の精神状態や、ものの考え方も共有できる。そこで、それを毎日の生活の中で実践したらどうなるだろうか。コミュニケーションのプロは、相手の考えが手にとるようにわかるほど巧みにミラーリングする。
ミラーリングに熟達するためには、鋭い観察力と人に対する柔軟性が必要だ。相手がいる時に実験してみてはどうだろう。
一人はリーダー、一人はその人に合わせてミラーリングをする人になる。リーダーは一〜二分間で、身体をできるだけ変化させる。
顔の表情や姿勢、呼吸のしかたを変える。あるいは、腕を組むような目につく動きをしたり、首に力を入れるような目立たない動きをする。
一通り終わったら、意見を交換し、次は交代して同じことをやる。うまく真似できたことを同じぐらいできなかったことがあるとわかるだろう。
誰でもミラーリングのエキスパートになれるが、身体の使い方は千差万別であり、身体の使い方を知れば知るほど、ミラーリングは上達する。
少し練習すれば、意識して真似をする必要もなくなり、自然に周囲の人の姿勢や状態を真似できるようになるだろう。