第1183冊目  デキる人は説明力をこう磨く (角川oneテーマ21) [新書]日本語力向上会議 (著)


デキる人は説明力をこう磨く (角川oneテーマ21)

デキる人は説明力をこう磨く (角川oneテーマ21)


相手を安心させるのは「うなずき」と「相づち」


話し方の達人には共通点がある。とにかく聞き方がうまい。立て板に水のように自分が言いたいことばかりをまくし立てるのは、相手の話を聞くことが下手な人に多い。自分では「かなりの会話上手」と思い込んでいるフシがあるが、伝えたいことが伝わっていないのがこのタイプなのだ。


説明をする場合も、人の話に耳を傾ける姿勢が大切である。話しているのに、途中でさえぎったり、無視したりすれば、当然、相手は不快な思いをする。これでは、どんなに巧みな説明をしても納得させられない。


聞いていることを相手に伝えるには、うなずきと相づちをタイミングよく繰り出すのが有効だ。視線を相手からそらさないようにしていても、うなずきも相づちもなければ、相手は「自分の話をわかってくれたのだろうか?」と不安になってします。不安は納得の大敵。こちらの説明を受けいれようとする気持ちを大きくそぐようになる。


「なるほど、そうですね」


「たしかに、そうだと思います」


「はいはい、わかります」


「えっ、そんなことがあるんですか?」


うなずきながら、こうした相づちをはさめば、相手は「共感を得てくれた」と感じて安心する。その結果、心が開かれ、言葉を受け入れようとする態勢が整っていくわけである。


「でも、相づちを打ってしまうと、相手の意見を受け入れてしまうのでは?」


そう考えるかもしれないが、うなずきや相づちは相手の意見や考え方に一定の共感を示すことにはなっても、それをまるまる受け入れることにも、同意を表明することになならないのである。こちらのペースで説明を進めるうえで支障にはならないことは、知っておいていい。


説明をなんとか納得してもらおうと意気込みすぎると、うなずきや相づちを忘れがちになる。さらに、「そうではなくて〜」「要するに〜」「そう言われても〜」といった、相手の言葉を直接的に否定する表現が出るようになったりする。意気込みすぎて余裕をなくし、説明に失敗する典型的なケースがこれだ。どんな状況でも、うなずき、相づちで相手を受け止めるという気持ちの余裕を持たなければならない。