第1166冊目  なぜ、サギ師のスーツはアルマーニなのか?―「絶対、人に騙されない」心理学 [単行本]樺 旦純 (著)



なぜ、結婚サギ師は50?の距離で話しかけるのか?


人の好意をもてあそび、金銭的な被害まで巻き起こす結婚サギ。


騙しのテクニックは様々あるが、そのひとつに、警戒されない距離感を保つ、というものがある。


人間には、相手に好意を抱く距離感というものがある。


?1m
?50?
?15?


この3つのうち、初対面の人との場合、一番印象がよいのは、実は?の50?ということが、心理学の実験でわかっている。


?では、親しい会話をするのには離れすぎである。


また、?はパーソナル・スペースといわれる「恋人など身近な人にだけ許される距離」であるため、初対面で必要以上に近づくと、かえって警戒されてしまうのである。


ちなみに、ビジネスなどで話をする場合は、?の1mがもっともよいと言われている。


しかし、?の50?は、そういうビジネスライクな堅さはなく、なおかつパーソナル・スペースも侵さない、絶妙な距離なのだ。


だから結婚サギ師などは、図々しい人だと思われないように、最初の?の距離で会話をし、徐々に近づいてくる。


もちろん、手応えがあれば、?の50?まで近づき、警戒されない程度い親密を増していく。そして親密になってようやく、?のパーソナル・スペースに入り込んでいくのだ。


誰だって、いきなり近づいてくる人には「なれなれしいな」と好印象を抱かないものだ。


だが、つかず離れず、よい位置にいてくれると、それだけで信頼感が増してしまう。


これをサギ師は経験でわかっていて、巧みに利用するのである。


相手との距離感が、知らず知らずのうちに、心を操縦しているのである。突然近くに来るような相手には、警戒が必要だ。