第1143冊目  FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 [単行本]ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学


絆を結び――電話のノンバーバル


電話ではノンバーバルを読み取れないと思うかもしれないが、それは違う。電話では相手から見えないので、ほとんどの人はノンバーバルを読み取れないと思ってしまうから、かえって明らかになることがあるのだ。


電話のノンバーバルが相手の感情を知る手がかりとして信頼できないと思うなら、ニュースでときどき流れる緊急電話の通話を思い起こしてみるといい。緊張によって、電話をかけている人の声の調子、高さ、速さ、大きさがどれだけ変わっているかがわかるだろう。あなたの仕事の電話がこんな調子にならないことを願っているが、受ける側として、こうした要素を聴きわける必要がある。さらに、言い間違いや躊躇(えー、あー、えーと)、雑音(咳払い、うなり声、閉じた口から息を吐き出す音、口笛、唇や舌の音)にも耳を傾ける。いずれも「なだめ行動」で、舌と口の雑音は、安心を求める赤ちゃんの吸いつき行動の大人版と言える。


言葉による躊躇やなだめ行動が聞こえたら、それが始まった話題まで戻すようにするといい。


顧客 あー、えーと――わかりました、入荷は来週でもいいんですがー……
あなた 来週では、問題がおありですか?
顧客 ええ、本当はそうなんです。入荷待ちのお客様がいて、問い合わせも多いんですよ。
あなた 急がせれば、三日早くお届けできます。それで大丈夫でしょうか?
顧客 それなら助かります。ありがとう!



電話での会話に見るノンバーバルの経験則

  • 電話には一回か二回の呼び出し音で出る(能率のよさを伝える――顧客のニーズを最優-先しているというメッセージ)。

躊躇(あー、えーと)や雑音(舌打ち、口笛)を避ける。これらをなくすことで、電話を通した話が周到で明白なものになる。

  • 言葉のミラーリングを実践する。顧客が「怒り」と言ったのなら、「お腹立ちはわかります」などと応じない。顧客の言葉をそのまま使って、状況を説明する。
  • 背景の雑音をできるだけなくす。
  • ほどよい声の大きさにする。電話をかけてきた人が声を荒げたら、こちらはかえって低くする。
  • 長くて深いため息を聞き分ける。これは「なだめ行動」で、「こっちにも苦労がある」というメッセージだ。
  • 自信を伝えられるよう、低い声を出す。
  • 値千金の沈黙がある。相手が何か不愉快なことを言ったなら、少し長い沈黙によって、これに対応することができる。この強力なノンバーバルは、目の前にいれば会議で当然椅子から立ち上がるのと同じように、相手の注目を引く。
  • 相手が話しだせるように、長い間を置く。ほとんど人は沈黙を嫌うので、あわてて間を埋めようとして、思わず本音を漏らすことが多い。