第1143冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 [単行本]ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)
- 作者: ジョー・ナヴァロ,トニ・シアラ・ポインター,西田美緒子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/01/14
- メディア: 単行本
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絆を結び――電話のノンバーバル
電話ではノンバーバルを読み取れないと思うかもしれないが、それは違う。電話では相手から見えないので、ほとんどの人はノンバーバルを読み取れないと思ってしまうから、かえって明らかになることがあるのだ。
電話のノンバーバルが相手の感情を知る手がかりとして信頼できないと思うなら、ニュースでときどき流れる緊急電話の通話を思い起こしてみるといい。緊張によって、電話をかけている人の声の調子、高さ、速さ、大きさがどれだけ変わっているかがわかるだろう。あなたの仕事の電話がこんな調子にならないことを願っているが、受ける側として、こうした要素を聴きわける必要がある。さらに、言い間違いや躊躇(えー、あー、えーと)、雑音(咳払い、うなり声、閉じた口から息を吐き出す音、口笛、唇や舌の音)にも耳を傾ける。いずれも「なだめ行動」で、舌と口の雑音は、安心を求める赤ちゃんの吸いつき行動の大人版と言える。
言葉による躊躇やなだめ行動が聞こえたら、それが始まった話題まで戻すようにするといい。
顧客 あー、えーと――わかりました、入荷は来週でもいいんですがー……
あなた 来週では、問題がおありですか?
顧客 ええ、本当はそうなんです。入荷待ちのお客様がいて、問い合わせも多いんですよ。
あなた 急がせれば、三日早くお届けできます。それで大丈夫でしょうか?
顧客 それなら助かります。ありがとう!
電話での会話に見るノンバーバルの経験則
- 電話には一回か二回の呼び出し音で出る(能率のよさを伝える――顧客のニーズを最優-先しているというメッセージ)。
躊躇(あー、えーと)や雑音(舌打ち、口笛)を避ける。これらをなくすことで、電話を通した話が周到で明白なものになる。
- 言葉のミラーリングを実践する。顧客が「怒り」と言ったのなら、「お腹立ちはわかります」などと応じない。顧客の言葉をそのまま使って、状況を説明する。
- 背景の雑音をできるだけなくす。
- ほどよい声の大きさにする。電話をかけてきた人が声を荒げたら、こちらはかえって低くする。
- 長くて深いため息を聞き分ける。これは「なだめ行動」で、「こっちにも苦労がある」というメッセージだ。
- 自信を伝えられるよう、低い声を出す。
- 値千金の沈黙がある。相手が何か不愉快なことを言ったなら、少し長い沈黙によって、これに対応することができる。この強力なノンバーバルは、目の前にいれば会議で当然椅子から立ち上がるのと同じように、相手の注目を引く。
- 相手が話しだせるように、長い間を置く。ほとんど人は沈黙を嫌うので、あわてて間を埋めようとして、思わず本音を漏らすことが多い。