第1126冊目  心を上手に透視する方法 [単行本(ソフトカバー)]トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)


心を上手に透視する方法

心を上手に透視する方法


さまざさま「手の動き」をコミュニケーションに活かす


とにかく、手に関しては、ここでは紹介しきれないくらい数多くの動作がある。特におもしろいものを、ご紹介しておこう。


誰かが何かをしっかりとつかんでいたり、講演の最中に演壇の縁をぎゅっとつかんでいたら、不安や自信のなさ、あるいは支えを得たいことのサインであることが多い。つまり、その人が自分の安全を守りたいという意味だ。


しかしもちろん、持っているものをどこかに置くことができなくて、単に手がふさがっているときはこれに該当しない。立食パーティーで、飲み物が半分残ったグラスを持ったまま歩き回るということはよくある。まだそれを飲みたいからだ。いつものことだが、解釈を間違えることもあるので注意が必要だ。


自分の意見を強調するときに、指を曲げた状態の手もよく見られる。この手は猛獣のかぎ爪と似ている。動物の世界では、脅かしや攻撃のサインだ。


握りこぶしも同様だ。つまり攻撃的な印象を与える。相手が意識の上で気づいていなくても効果がある。


握りこぶしをつくると、身体全体の姿勢が変わる。潜在意識はこの明確な変化をすぐに感じ取り、私たちの中に何らかの反応を呼び起こす。これは、人間には必要な、潜在意識の中に残っている本能だ。この、人間が太古からもつ本能が働かなかったら命とりになるのだ。


たとえば、誰かが言ったことに対して自分が攻撃的な反応、つまり握りこぶしをつくっていたのに、それがなぜなのか自分でもわからないことがあるかもしれない。それは、相手の些細だが明白な身振りに、意識しないうちに勘づいたことがきっかけだったのだ。


両手のひらを、自分から向こうに何かを押しやるように伸ばしたら、もっと距離をとりたいということだ。誰かの意見や、その相手自身を、象徴的に自分から遠ざけている。手をそのように動かす代わりに、目の前のテーブルの上にあるものを向こうに押しやるという動作もある。ペンやコップ、お皿、何でもいい。


誰かが物の位置を変え始めたら、その場で話題になっていることを整理したいというサインだ。あるいは、その人は何を言ったらいいのかわからず、会話の中で体勢を整えたくて時間稼ぎをしていることもありうる。


両手をポケットに突っ込んでいると、両手を使うことができない。これはわかりやすいだおう。つまり、その時点では何かに強力したくないか、隠したいという明白なサインなのだ! 両方の意味が、物理的な意味でも比喩的な意味でも考えられる。注意してほしいのは、単に手が寒いからということもありうるということだ!


もう一つ、ちょっとしたアドバイスがある。ジーンズをはいている人がよくするのだが、手をポケットに突っ込んで、親指だけがポケットの外に出ていることがある。これは自分は優位にいることを示すものである。なぜなら親指は指の中で一番力が強く、この指がわざわざ見えるようにしてあるからだ。同じことが、腰のベルトに指を引っ掛けているときにも言える。


手を握り合っているカップルがいたら、観察してみるとよい。優位に立っているほうの親指が、いつも一番上に置かれているはずだ。


背中で腕組みすることも、はっきりとした優位を示す姿勢だ。無防備な上半身が差し出されている。つまり、自信に満ちあふれているということだ。万が一のときに自分を防御できなくなるというのに、手を自分の背後に回している。つまり、図太い神経の持ち主だけがこの姿勢をとる。