第1113冊目 学び続ける力 (講談社現代新書) [新書]池上 彰 (著)
- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/01/18
- メディア: Kindle版
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アメリカ大統領選挙に学ぶプレゼンテーション能力
二〇一二年一〇月、アメリカ大統領選挙を取材するため約一か月アメリカに滞在し、全米各地を回りました。ここでプレゼンテーション能力の大切さについて、考えさせられました。
大統領選挙の華は、候補者同士の同論会。選挙戦中に三回実施されます。これが勝敗の鍵を握ります。
かつて1969年の大統領選挙では、共和党のリチャード・ニクソン副大統領が大統領選挙に出馬。対するは、無名に近かったジョン・F・ケネティ。このとき初めて候補者同士のテレビ討論会が実施されました。
ケネディは濃紺のスーツを着用し、テレビ用にメーキャップをして登場。ニクソンは薄いグレーのスーツを着て、メーキャップなしで臨みました。当時のテレビは白黒画面。濃紺のスーツは力強く映えたのに対して、薄いグレーは候補者を弱々しく見せてしまいました。
当時のテレビ画面の解像度では、顔色などは、あまりはっきりわからないのですが、メーキャップしていた分、ケネディが健康的に見えました。二人の顔も対照的でした。ベテランのニクソンは、既成の職業政治家に見えたのに対して、ケネディは、既成の政治に挑戦する若者に見えました。
討論会の後、ラジオで二人の討論会を聴いた人たちは、ニクソンに軍配を上げました。ところが、テレビを見ていた人たちは、ケネディが勝ったと評価しました。テレビ映りが大切だ、ということが、この頃から認識されるようになったのです。