第1041冊目 武器としての交渉思考 (星海社新書) [新書]瀧本 哲史 (著)
- 作者: 瀧本哲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/26
- メディア: 新書
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プロでも、アンカリングの影響を受ける
アンカリングは交渉を有利に進めるために、非常に効果的な手法です。
あらゆ交渉において、まず最初にどういう条件を相手に提示するかが、その後の展開を大きく左右するのです。
「相手側の提示した条件に人は縛られる」ということを聞いて「そんなことはない!」と思う人もいるかもしれませんが、じつはこのことを確かめた有名な実験があります。
不動産取引の研究実験で、同じ物件をまったくのアマチュアからベテラン不動産業者まで、複数の人間に評価してもらいました。
その際、「この家を売るとしたら○○円以上で売りたい」と金額を初めに提示しました。
その結果、アマチュアもプロも見事にその提示された金額に引っ張られて値付けをしてしまったのです。
さらに面白いことに、場合によってはプロのほうがよりその提示金額に影響されており、にもかかわらず、なんと実験に参加した不動産業者の80%が「自分は相手側の提示した金額とはまったく関係なく、自分自身の判断で客観的にこの金額をつけた」と述べていたのです。
外国のバザールなんかで気に入った商品を見つけて、売り手に「これいくら?」と値段を聞くと、こちらが予想する10倍以上の「法外な値段」をふっかけてくる。そういうことはよくありますよね。
それも、売り手は値切られることを前提に、なんとか高い値段で最初にアンカリングしようと思って、ふっかけるわけです。
無意識のアンカリングによって、人の思考は影響を受け、ひきずられてしまいます。
だから、相手側が何かしらの条件を提示してきたときには、それにアンカリングされないように「この条件の設定自体に何かしらおかしいところがあるのではないか?」と常に疑ってかからなければいけません。
逆に、自分の側が交渉を優位に進めるには、最初から自分が戦いやすい条件を初期にオファーすることが必要になってくるということです。
アンカリングの考え方
- 最初に相手をアンカリングして、優位に交渉を進める
- 相手から提案を受けたときは、それがアンカリングではないかと疑う