第1013冊目  アメリカの企業家が学ぶ世界最強のプレゼン術 [単行本(ソフトカバー)] ジェリー・ワイズマン (著), 持田 直武 (翻訳), 福山 紫乃 (翻訳)

アメリカの企業家が学ぶ世界最強のプレゼン術

アメリカの企業家が学ぶ世界最強のプレゼン術


話のリズムをコントロールする


「所どころでちょっと休みをいれることは、どんな言葉よりも効果的だ」マーク・トウェイン


スピーチの調子は音楽のリズムと同じだ。音楽には拍手が必要だし、スピーチにもその基礎となる拍手が必要だ。スピーチの基礎について考えるために、もう一度プレゼンテーションの三つのダイナミクスに戻ろう。そのダイナミクスの一つ、音声と話の内容に焦点を当てる。書き言葉を見れば、音声を書き表して言葉ができていないことがわかる。文章は、言葉が集まって構成されている。

話し言葉は違う。会話をする際、文章をすべて言うわけではない。不完全だったり、部分的だったりする。新聞や雑誌のインタビュー記事を読めば、話し言葉がいかに断片的かわかるだろう。話し言葉は途切れ途切れで、突然終わり、思いつきでふらついたりして一貫性が無い。インタビューの速記録を読む時は、たびたび前に戻り意味をつなげなくてはならない。

スピーチはプレゼンテーションの聞き手は、そんなことをしている余裕はない。もしあなたの言うことを聞き逃したら、追いつくのは大変だ。それでは失敗も同然だ。代わりに明快に、わかりやすい調子で話せば、聴衆はついて来やすくなる。

話の進行に合わせてリズムをつけて話そう。調子よく話そう。スピーチで話す文章はプレーズ(句)で構成されている。フレーズは話し言葉の最小単位だ。

フレーズの中には長く、からみ合い、多くの言葉を含むものもあれば、短く、数語で成り立つもある。もっと短く一度だけのフレーズもある。

いくつの言葉でできていようと、それぞれのフレーズは共通の特徴を持っている。それぞれが独立し、一つの意味を持ち、始まりと終わりがある。どのフレーズもあなたの言いたいことを説明するものだ。そして、あなたの話に調子をつける。

フレーズを基本のリズムとするために、そのフレーズが他のフレーズとどう区別されるのかを考えよう。文章では、句読点を使って区切りを示すが、話し言葉では間合いを取って区切りを示す。ここで、プレゼンテーションやスピーチで、間合いがどんな役割をするかを示そう。あなたが部屋の前方に出て、聴衆の中から一人を選んで、その人と会話をする準備ができたとする。そして、

  • まず、ひとフレーズ、その人に向かって話しかける
  • 間合いを取る
  • 別の人に移り、その人にひとフレーズ、話しかける
  • 間合いを取る
  • 別の人に移り、その人にひとフレーズ、話しかける
  • 間合いを取る
  • 部屋中の人にこれを続け、一人にひとフレーズずつ話しかける
  • ひとフレーズごとに、間合いを入れる