第1010冊目  人を10分ひきつける話す力 (だいわ文庫) [文庫]齋藤孝 (著)

人を10分ひきつける話す力 (だいわ文庫)

人を10分ひきつける話す力 (だいわ文庫)

テープにとって文章を起こしてみる


自分の話にどのくらい意味が含まれているのかは、話をテープにとって文字を起こしてみるといい。書き起こされた文章を読んでみれば、どのくらい自分の話が支離滅裂なのか、どれほど意味がないのかが、はっきりとわかる。

話には、無駄や繰り返しがつきものだ。話しているときは、それがある程度は許されるし、そこに話のおもしろさもある。ある程度の重複は仕方ない。

それより問題は「意味の含有率」である。

たとえば、私は雑誌などで対談をするが、対談テープを文字に起こしたとき、ほとんど直さず記事になる人と、たくさん手を入れなくてはならない人にはっきりと分かれる。手を入れなくてはならないのは、そのままでは何を言おうとしているのかわからないからだ。話に意味の含有率が少ないのである。そういう人は人前で話し慣れていないということもあるが、文章も書き慣れていないことが多い。

「話す力」の基本は、自分の話に意味があるかどうかをつねに自己チェックしているかどうかにかかっている。その自己チェックの一つの方法として、自分の話をテープにとって起こしてみるのは、とても役立つはずだ。