第917冊目  「権力」を握る人の法則 [ハードカバー]

ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則

勝者のようにふるまう


ソフトウェア会社のCEOとして成功を収めていたスティーブは、ある外資ベンチャーキャピタルのパートナーに転身した。ところがこの会社の投資実績は芳しくないうえ、スティーブは他のパートナーとどうも気が合わない。そこでさっさと見切りをつけ、結局また小さなソフトウェア会社のCEOになった。ちょうどその頃スティーブと話す機会があったが、彼は意気軒昂だった、新しい会社は小さくて危なっかしいにもかかわらず、スティーブと話していると全然そんな感じがしない。じつに情熱的に現状を語り、見通しは明るいと断言し、ベンキャーキャピタルでの失敗などおくびにも出さなかった。そのスティーブは、いまでは国際的なコンサルティング会社の執行副社長に収まっている。彼の成功は、つねに自信満々で成功者のようにふるまってきたことと無縁ではないだろう。

考えてみれば、状況というものは解釈次第、見方次第であることが多い。あなたは自ら辞めたのだろうか、それともクビになったのだろうか。あなたは前職で有能だったのだろうか、そうでなかったのだろうか。他の人があなたをどう見るかは、あなた自身の態度や行動にかなり左右される。あなたが明るくて前向きで堂々としていたら、誰も失敗してクビになったとは思わないだろう。第七章で取り上げたように、内心では不安でも自信があるようにふるまう術を身につけることは、とても大切である。そのようにふるまえば、たとえ内情はどうであれ、あなたが万事を掌握しているという印象を与えることができる。

なぜそんなことが大切かと言えば、人間は勝ち組につきたがるものだからである。苦境に立たされ助けがほしいときには、最後に勝つのは自分だと周囲に信じさせることが必要だ。真実を隠して助けを求めろというのではない。もちろん、状況は確実に説明しなければいけない。だがその際に、あなたの自信や信念や粘り強さを示すべきである。あなたを応援し、さらには投資してもけっして無駄にはならない、と周囲に信じさせる必要がある。