第867冊目 なぜあの人は人前で話すのがうまいのか [単行本]

中谷彰宏 (著)

なぜあの人は人前で話すのがうまいのか

なぜあの人は人前で話すのがうまいのか

「あのー」を言わない

自己紹介で言いわけをすると、感じが悪いです。

ところが、言いわけをする人が案外多いのです。

人の自己紹介を聞くのは、通常は面倒くさい作業です。

人のスピーチを聞くことほど退屈なものはありません。

ほんとうは、スピーチも面白ければいいのです。

言い訳が一番でやすいのは冒頭です。

その瞬間、その人の話は聞いてもらえません、

自分の自己紹介が言いわけから始まっていないか振り返ってみることです。

伝わらない自己紹介には共通点があります。

言いわけから始まる人は、発表する場所に出てくるのが遅いです。

しかも、出てくる前のトーンが暗いです。

話し始めのところで半分の印象は決まります。

ここで時間を稼いだからといってどうということはありません。

発表する場所へ出てくる時間が早くなるか遅くなるかというより、元気よく明るく出て、自分はみんなに元気を与える自己紹介をしたいという気迫が必要です。

「なんで自分が当てられちゃったの」と仕方なしに話すという空気が、話し始める前に出ている人がいます。

とぼとぼと出てきた人は、必ず言いわけをします。

これでチャンスをなくします。

その時点で、「この人の話はもう聞かなくてもいい」とみんなに思われます。


冒頭でつかむのではなく、話し始める前につかむのです。

元気よくそのままポンと前に出られる人は、「この人、感じいい」と思われます。

ところが、出てきて「えーと……」で始める人は、カラオケの歌い出しをしくじった人と同じです。

出が遅れたり、出が早まったりする人で、カラオケのうまい人はいません。

カラオケのうまい人は、立ち位置に出てきて、マイクを持ってヒュッよ上げた瞬間に歌い始めます。

立ち位置に出てから「ア、ア」とマイクのテストをしたりすると、伝え方の苦手な人だとすぐにわかります。

こちらに緊張感が伝わります。

これはクセです。

どこに行っても同じことをやっています。

「えー」から始める人も冒頭でつかみ損ねます。

冒頭を「えー」で始めると、話しの中に何回も「えー」が出てきます。

いかに話しの中の「えー」を取り除けるかで、印象が変わるのです。