第942冊目 “司法試験流” 勉強のセオリー (NHK出版新書 375) [新書]伊藤 真 (著)

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“司法試験流"勉強のセオリー (NHK出版新書)

「習慣化」と「限界からの五分」で続ける力を養う

毎日持続させるには、自分の生活の中で習慣化させる必要があります。人間というものはほんのささいなことでも異質だと感じるものを排除しようという思いが働くものです。その時間が一時間であろうが一〇分であろうが、指先に小さなとげが刺さったときのように、気になってしょうがない。

ですから、勉強などの習慣のも、それがあたかも自分の生活のリズムの一部だと、脳の錯覚させることが大切です。例えば、寝る前に歯を磨くことは苦もなくできる人が多いと思いますが、それは習慣化しているからです。別に一日くらい磨かなくても大したことないはずなのに、「やっぱり歯を磨いておかないと気持ちが悪いな」と感じる。同じように、勉強を生活の一部に組み込んでこれがないと何か落ち着かないと思うくらい、自分の中の自然な状態にしてやればいいわけです。

そのためみは、やはり、電車に乗ったときや、寝る前には必ず単語カードを見るという癖をつけるとか、歩いているときには、iPodのような携帯音楽プレーヤーで英語を聞き続ける、というふうに自分の生活習慣の中にうまく入れ込んでしまうことです。

その日にやるべきノルマがあるけれども、「もう眠いからやめてしましまえ」とあきらめてやらずに寝てしまったり、逆に、無理してこなしたことによって、翌日は疲れ果ててしまい続ける気が失せてしまったりと、両極端な行動に出てしまう人が多いんです。そうなると、やはり続けるのは難しくなってしまいます。

そうしてときに続けるコツは、やはり、自分にほんの少し負荷をかけることです。私は塾生たちによく「もう駄目だと思ってから、五分頑張れ」と言っています。もう駄目だと思ってから一時間とか、今日のノルマをやり終えるまでとなると、どうしても嫌になってしまいますから、あと五分だけ頑張るという粘り癖をつける。そうすることが、結果的には続ける力につながっていくわけです。あと少しだけ頑張ってみようという意識を常に持ち続けることが大切なのだと思います。