第848冊目 その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

矢野香 (著)

その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

手本になる人は徹底して真似る。


ある日、「お手本になる人を探してみて」という指導を受けました。

要はモノマネです。モノマネをする人の条件は一つ、私は肩書が同じ人。そこで選んだのが、当時、『NHKニュース7』を担当していた森田美由紀アナウンサーでした。

森田アナウンサーは、女性ではじめてNHKの午後7時からのニュースを担当し、局内でも「森田さんがニュースを読み間違えたのを聞いたことがない」と評判の「ニュースの森田」と言われた人です。

その日からモノマネ練習がはじまりました。

ますは形から真似ようと、肩まであった髪を森田アナと同じようなショートカットに切りました。本番で着る衣装も、それまでのパステルカラーの可愛らしいスーツはやめて、森田アナと似たような色と形、モノトーンカラーのテーラードスーツを購入しました。

それまでやっていた滑舌や早口言葉のアナウンス練習はやめました。代わりに、「こんばんは、森田美由紀です」と何回もモノマネで言い続け、同じ調子で「こんばんは、矢野香です」と言う練習を行いました。

さらに、森田アナが番組で読んだニュース原稿を取り寄せ、実際放送したニュースに合わせて自分も一緒に読んで見ました。声の高さ、話すスピード、どこで息継ぎをするか、どの言葉を強調するか。本物の森田アナの声と自分の声がぴったり重なるようになるまで、この練習を繰り返しました。
矢野香