第752冊目 誰も教えてくれない人を動かす文章術 齋藤孝/著

誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)

誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)

目次


プロローグ 人を動かす書く技術
第1章 「書く」ことで生活が劇的にチェンジする―エッセイからはじめる書く技術
第2章 まずゴールを決める―「書く」ことで世界観がガラリと変化する
第3章 ビジネスの文書力―稟議書・報告書・企画書・始末書・謝罪文の書き方
第4章 学生のための文章術―感想文・小論文・自己アピール文の書き方
第5章 メールは余力を残すな―おトク感を演出できる最高のツール
第6章 評価されるワンランク上の文章力―視点の身につけ方、読書力、文章の思考法


失敗をアピールする


私は就職の内定をもらった学生に、何が企業に認められたのか、と聞くとこにしています。その中で印象に残ったのは、こういう例です。


その学生は、バイト先で自分がリーダー役に抜擢された時、大きな失敗をしてしまったそうです。その話が企業側の印象を良くし、内定を得たというのです。


別に失敗談をおろしろおかしく話してウケたのではありません。普通は、自分の失敗というのは、なかなか他人には明かしたくないものです。しかし、そこで冷静に、何が悪かったのかを自分で反省し、それを教訓にしてその後の行動につなげる、そういう実績をアピールしたのです。企業はこれを「修正能力がある」と高く買ってくれたそうです。


「何かで失敗した」という経験は非常に重要です。それが何に基づくものなのかを分析し、それをきっかけに成長していけるような、修正能力の高い人材を企業は求めています。人から素直に学ぶことができる。悪い点を指摘されても、キレることなくそれを乗り越えられる。トラブル
に直面しても過去の事例を参考にして解決することができる。そういう人材を企業は求めているわけですから、失敗から学んだ姿勢をアピールするというのは、非常に効果的です。


逆に自己アピールの段階で、「自分はこれが得意です」「性格的な短所はここですが、もう少し良くしていきたいと思います」という程度だと、面接に進んだときに面接官のほうが「例えば具体的にどういうことなの」というふうに質問を広げていかなければならなくなります。


それが失敗談として「例えば」の部分まで具体的な部分まで書いてあると、「じゃあそのとき、君はどういう手を打ったわけ?」とか、「その後どいういうふうにすればいいと思ったの」という具合に学生の内面に迫るような質問がそこからどんどん展開していきます。一つの自己アピール文をきっかけに、採用担当者にその学生の本質がメスで開かれたように見えてくるのです。どちらが企業に好印象を残すかは一目瞭然です。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉


「間隔を置いた反復が大事です。多くのことを1、2度学ぶより、少ないことを何度も学ぶべきなのです」――ケン・ブランチャード

 

編集後記




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