第385冊目 プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか  P.F.ドラッカー/著 上田惇生/編訳


Download

  • 定期的に検証と反省を行う――編集者の教訓


私がなぜ長い間、知的な世界において仕事を続けることができたかについて、次に紹介したいのは勤め先の新聞社の編集者で、当時ヨーロッパでも指折りのジャーナリストだった人から教わったことである。


当時、記者の平均年齢は22歳前後という恐ろしい若さだった。その中で私は、間もなく3人の論説委員のひとりに抜擢された。それほど優秀だったわけではない。記者として一流だったことは1度もない。実は、1930年ころの当時、私の地位に就くべき人たち、年でいえば、35歳前後の人たちが、ヨーロッパ全体に払底していたからだった。


当時50歳くらいだったその編集者は、大変な苦労をして私たち若いスタッフを訓練し、指導した。毎週末、私たちの一人一人と差しで向かいで、一週間の仕事ぶりについて話し合った。加えて半年ぶりに、一度は新年に、一度は六月の夏休みに入る直前に、土曜の午後と日曜を使って、半年間の仕事ぶりについて話し合った。編集者はいつも、優れた仕事から取りあげた。次に、一生懸命やった仕事を取り上げた。その次に、一生懸命やらなかった仕事を取りあげた。最後に、お粗末な仕事や失敗した仕事を痛烈に批判した。


この一年に二度の話し合いの中で、いつも私たちは、最後の二時間を使ってこれから半年間の仕事について話し合った。それは「集中すべきことは何か」「改善すべきことは何か」「勉強すべきことはなにか」だった。私にとって、年に二度のこの話し合いは大きな楽しみになった。しかし新聞社を辞めたあとは、そのようなことをしていたことさえ忘れた。


ところがその後、

日本の読者へ
 
はじめに
 
Part1 いま世界に何が起こっているか
 
 第1章 ポスト資本主義社会への転換
 第2章 新しい社会の主役は誰か
 
Part2 働くことの意味が変わった
 
 第1章 生産性をいかにして高めるか
 第2章 なぜ成果があがらないのか
 第3章 貢献を重視する
 
Part3 自らをマネジメントする
 
 第1章 私の人生を変えた七つの経験
 第2章 自らの強みを知る
 第3章 時間を管理する
 第4章 もっとも重要なことに集中せよ
 
Part4  意思決定のための基礎知識
 
 第1章 意思決定の秘訣
 第2章 優れたコミュニケーションとは何か
 第3章 情報と組織
 第4章 仕事としてのリーダーシップ
 第5章 人の強みを生かす
 第6章 イノベーションの原理と方法
 
Part5 自己実現への挑戦
 
 第1章 人生をマネジメントする
 第2章“教育ある人間”が社会をつくる
 第3章 何によって憶えられたいか
 
付章 eコマースが意味するもの―IT革命の先に何があるか
 
編訳者あとがき
 
ピーター・F・ドラッカー著作目録