第222冊目 できる人の教え方 著者/訳者名 安河内哲也/著

できる人の教え方

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人前に立ったら、とにかく、できるかぎり全体に視線を配ること。ただし、つねに視線を聞き手に向けている必要はありません。私の場合は、ときには聞き手の頭の上を通り越して、向こう側の壁の真ん中あたりをみていることもあります。

教師が板書したことをノートに書き写させることも「作業」です。なぜなら、そのとき生徒はずっと手を動かしているだけで、頭をほとんど働かせていないからです。

本気で教えよう、スキルアップさせてやろうと思ったら、板書は必要最低限にするべきです。

どんな講義・研修であれ、音読をなんとか取り入れられないかを検討することは非常に価値があります。

不思議なことに、無気力であまり笑わなかった若者たちも、毎週音読をつづけると、半年もたつとよく笑い、よく話し、積極的で明るい性格に変わっていきます。これは、私が経験している音読の不思議な効果です。

どんなにプライベートで嫌なことかあろうとも、部下なり生徒なりの前にたつ直前には、無理やり笑顔をつくりましょう。
「ここの説明を省いてしまおうかな」という邪念は、疲れているときに起こりがちです。「省きたい」という衝動にかられたら、「自分は疲れているのだ」ということを強く意識し、「省きたい」という気持ちと闘うことか重要です。

私は、「学ぶ」とは、つきつめれば「思考訓練と暗記」だと考えています。何時間机に向かっていようとも、できるようにならなければ、また、覚えていなければ、意味がないのです。

教えるときの基本は、欲張らないことです。欲張ると裏目に出ます。情報の洪水状態になり、おもしろくない内容になります。また、必然的に口調や展開がはやくなってしまい、ついてこられない聞き手が続出します。

「どんなつまらないことでも、悩んでいることがあったら、訊いたほうがいいよ。わかっているひとに訊くのがいちばん早いからね。もちろん、自分で調べることも大切だよ。でも、調べても解決できないことを放っておいてはダメだ。だから、あとで来てくださいね」

プロローグ 惜しみなく「教える」ことで人は成長できる
第1章 「教える」とは、どういうことか
第2章 相手にわかってもらう教え方
第3章 相手のやる気を引き出す教え方
第4章 相手のタイプにあわせた教え方
第5章 多人数を前にしたときの教え方
エピローグ 20年間、教えつづけてわかったこと

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