第173冊目 やめたくてもやめられない脳 依存症の行動と心理 著者/訳者名 広中直行/著

やめたくてもやめられない脳―依存症の行動と心理 (ちくま新書)

やめたくてもやめられない脳―依存症の行動と心理 (ちくま新書)

今人気を集めているのは健康ではなく不健康なのである。

人が何にハマってしまうかという問題は、今の人が何に魅力を感じているか、どんな動機で行動しているのかという話題にも通ずる。

結局、依存を起こす薬物の持っている本質的な問題は何なのかというと、薬が欲しくてたまらないという気持である。その気持からいろいろな問題が起こる。

薬に限らず、食品添加物環境化学物質についてもそうなのだが、あるモノが安全かそうでないかを決める確たる根拠は科学研究の側にはない。ときおりマスコミで「科学的に安全が証明された」と言っているが、それは正しい言い方ではない。

神経系の活動は変化に富んでいる。私たちは練習をして何かを学び、それを覚えることができる。忘れることももちろん多い。

記憶の呼び出しは、それがあるべき環境刺激とセットになったときに最もよく起こる。

赤インクで「青」という字が書いてあった場合、そのインクの色を正しく答えることはかなり難しい。

催眠術師は、かからなかった人の耳元でこうささやいた。「悲観しなくてもいいんだからね」こう言われた後でその催眠術師がもう一度かけると、こんどは全員かかってしまったそうである。つまり私たちのものの見方はあっけなく変わる。本当は催眠術師が非力なのである。しかし、そう思わせない口のききかたがあるのだ。

第1章 やめたくてもやめられない
第2章 イオンの海のなかで―神経の仕組み
第3章 「欲しくなる」脳
第4章 心のデフレスパイラル強化学習
第5章 メンタルフレームワーク―記憶と認知
第6章 心の進化が生んだもの
第7章 人間を見る目

やめたくてもやめられない脳―依存症の行動と心理 (ちくま新書)

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