第63冊目  私の財産告白 本多 静六 (著)

好景気時代には倹約貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返すように私はおすすめする

私もいままでにずいぶんこの禁をやぶって金を貸した。ことに友人などからの困窮の事実を訴えられると、つい気の毒になって金を貸したものである。ところが、気の毒だと思って貸した金で、その金が生きた例がほとんどない。

人を使うのには、人の名前を、早く、正しく覚え込むといったが、これはなんでもないことのようで、きわめき大切なことである。

馬鹿に儲かる仕事は、また馬鹿に損する仕事である。馬鹿に儲かって、そして決して損をしない事業なんて、常識から考えても全くあたえないことである。しかも、そんなにウマイことがあるのなら、だれしもこっそり独りで始めてしまう。そうそう他人の説き歩くものではない。かりにそういう儲け口があるとしても、自分一人で大儲けしようなどと欲張って、身分不相応な大口出資を引き受けてはならない。

「あらゆる通常の収入は、それが入ったとき、天引き四分の一を貯金してしまう。さらに臨時収入は全部貯金して、通常収入増加の基に繰り込む」


私の財産告白

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