第15冊目 ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則 ジェームズ・C. コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

偉大さへと導くとは、まず答えを考え、理想を実現するビジョンに向けて人々の意欲を引き起こすことを意味しているわけではない。答えを出せるほどには現実を理解出てきない事実を謙虚に認めて、最善の知識が得られるような質問をしていくことを意味する。

偉大な実績に飛躍した企業が比較対象企業より、情報の量が多かったか、質が高かったかことを示す事実は見つからなかった。そういう事実はまったくなかったのだ。どちらの種類の企業も、良質の情報を同じように入手できた。したがって、カギは情報の質にはない。入手した情報を無視できない情報に変えられるかどうかがカギである。

偉大な企業へと飛躍するには、「能力の罠」を克服しなければならない。そのためには、「何かをうまくできるからといって、利益をあげていて成長しているからといって、それで最高になれるとはかぎらない」と判断する規律がなければならない。飛躍を遂げた企業は、無難な仕事を続けていても無難になれるだけであることを理解している。どこにも負けない事業になりうる部分だけに注力することが、偉大な企業への唯一の道である。

偉大な企業にとってきわめて単純で明快な世界が、比較対象企業にとって複雑だし,霧に包まれている。なぜなのか。理由は二つある。第一に、比較対象企業は適切な問い、三つの円で示された問いを立てていない。第二に、目標と戦略を設定するにあたって、現実の理解に頼るのではなく、虚勢に頼っている。

偉大な実績に飛躍した企業は、はっきりとした制約のある一貫したシステムを構築しているが、同時に、このシステムの枠組みの中で、従業員に自由と責任を与えている。みずから規律を守るので管理する必要がない人たちを雇い、人間ではなく、システムを管理している。