第3254冊目 家族のためのユマニチュード: “その人らしさ”を取り戻す、優しい認知症ケア  イヴ・ジネスト (著), ロゼット・マレスコッティ (著), 本田 美和子 (著)


家族のためのユマニチュード: “その人らしさ

家族のためのユマニチュード: “その人らしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア

  • 話す


介護をするとき、相手の耳が遠いので、聞こえくいだろうと思い、だんだん大きな声で話すようになってしまったり、自分の希望を相手に納得してもらうために、理屈詰めでたたみかけるように話してしまったりすることがよくあります。「話す」ときにも「見る」ときと同様に、単に言葉による情報だけではなく、言葉によらないメッセージもたくさん相手に届いていることを意識しながら話します。


低めの声で、穏やかに優しく、前向きな言葉を使い、とぎれなく話す


人はイライラするとだんだん声が高く、大きくなっていきます。「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを伝えるには、低めの声で、穏やかに優しく、ときには歌うように抑揚をつけて話します。


介護するときには、つい「じっとしていてください」といったことを言ってしまいがちですが、このような言葉にはそんなつもりはなくても、「私がやりたいことを黙って受け入れてください」というメッセージが込められてしまいます。そうならないよう、使う言葉もできるだけ前向きが語彙となるように心がけます。「お元気そうですね」、「笑顔が素敵です」、「笑ってくれてありがとう。私もうれしい」というように、できるだけ前向きな言い方、たとえば「じっとしていてね」と言う代わりに、「協力しくれて、とてもうれしいです。どうもありがとう」というように言い換えてみてはいかがでしょう。