第3083冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著),‎ トニ・シアラ・ポインター (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 頭、顔、首


人は驚くほど鋭く顔の表情を読み取る――目に入るものに注意を向けていればの話だが。赤ちゃんでさえ顔の表情を認識するから、怖い顔を近づければ泣き出してしまうだろう。種としての生き残りをかけて、共同体としてのつながりを築くために、大切な情報を伝えるために、危険に対して団結するために、人間にとって顔の表情を読む能力は何よりも重要だった。筋肉が複雑に組み合わさった顔は、無数の表情を作ることができ、感じていること、気分などを、リアルタイムで伝えている。顔の筋肉はほとんど無限と言える多様な動きと、動きの組み合わせによって、印象的なノンバーバル情報の流れを一瞬にして伝えることができるのだ。


顔の表情は人間どうしのやりとりにとって非常に重要だからこそ、私たちは幼いころから、本心を顔に出さないことを学んでいく。そのために、また顔の表情は変化に富んでいてかすかなものなので、マイクロエクスプレッションに細かく注意を払い、これまで説明してきた体のほかの部分のノンバーバル――敏感に反応する胴体、表情豊かな腕と手、「正直な」脚――と組み合わせて考えることが大切になる。


さらに「シグナルが混じり合っているときの原則」も関係してくる。この原則では、誰かの顔の表情と言っている言葉が一致しないとき、または顔に快適と不快の矛盾のした手がかりが両方現れているときには、不快な感情の手がかりを第一に考える。なぜだろうか。無意識のうちに起こる大脳辺縁系の反応は、スピードでも正直さの点でも意識的な言葉の反応よりも強力だった。そして不快を表すノンバーバルは、同じ理由から、喜びを表すノンバーバルよりも信頼できる。多くの場合、人が「喜びそうな顔を装う」のは、本心を表したことになる。口で何と言おうと、一瞬だけ嫌悪、軽蔑、失望、無関心の表情が見えたなら、その感情が本物だ。