第2864冊目 人生を思い通りに変える51の質問 谷原 誠 (著)


人生を思い通りに変える51の質問

人生を思い通りに変える51の質問

  • 変わらなければならないのは、誰ですか?


あなたは、自分の周りに、変えたいと思う人がいるでしょうか?


会社の上司はどうでしょう?


「あの上司は物わかりが悪すぎる。もっと人の言うことを理解すべきだ」


「あの上司は決断力がなさすぎる。あれではこちらが何をやっていいかわからない。もっとテキパキ決断すべきだ」


夫や妻はどうでしょう?


「夫はもっと家事を手伝うべきだ」


「妻は感情的にならず、もっと理性的に話し合うべきだ」


私たちは、このように、つい自分の方が正しく、人が間違っていると思いがちです。自分のことは棚にあげて、自分の周りにいる人に責任を負わせようとします。場合によっては、人に忠告までして変えようと試みます。


「あなたはもっとおおらかになるべきだ」


「あなたはもっと危機感を持つべきだ」


しかし、私たちがいくら一生懸命忠告しても、なかなか人は変わってくれません。


私たちだってそうです。人も私たちに対して、「頑固なところを直した方がいい」とか、「もっと私の言うことに耳を傾けるべきだ」とか、色々なことを思っているはずです。そして、時には忠告してくれます。しかし、私たちは、ちょっと忠告されただけで何も変わりません。時には一言で人が変わることもありますが、ほとんどの場合には、他人の言葉によって人が変わることはありません。


物事の責任を人のせいにするということは、自分が「状況をコントロールする権利」を手放すということを意味します。人のせいにした瞬間、自分ではどうにもできなくなります。人が変わってくれれば解決ぢますが、変わってくれなければ何も解決しないことになります。人が「状況をコントロールする権利」を持っていることになるのです。それが責任を人のせいにする重大なデメリットです。自分の人生が、自分の思い通りにならなくなってしまうのです。


でも、それではつまらないですね。物事が他人次第で決まってしまう、ということは、とてもイライラするものです。


だったら、いっそのこと、自分の責任にしてみたら、どうでしょうか?


「あの上司は物わかりが悪すぎる。それは、私の説明の仕方がわかりにくいのだ。あの上司にはよく理解してもらうためには、どうしたらよいだろうか? よし、今度は他社との比較で説明してみよう」


「夫が家事を手伝ってくれないのは、まだ私の働きが不十分だと思われているからだ。それに、私の方が夫の仕事の大変さに気を配っていないからかもしれない。よし、もっと頑張ろう。そして、夫の話にもっと耳を傾けよう」


このように、物事の責任を自分で背負った瞬間、「状況をコントロールする権利」は自分の中に芽生えることになります。何が起きても自分次第になるのです。これがセルフコントロールです。


このように、自分の考え方を変え、「すべての物事の責任は自分にある」と考え始めると、私たちは、自分の環境をコントロールする権利が自分にあることを自覚できます。そうすると、何事も自分から行動するようになります。そして、それが習慣化します。


習慣化すると、その習慣が自分の一部となり、人に影響を及ぼすようになります。人が自分に接する態度が変わってくるのがわかるでしょう。私たちは、自分を変えることにより、自分の環境を変えることができるのです。


ウェストミンスター寺院の地下室にあh、次のような碑文が刻まれた英国国教会主教の墓にあるそうです。


だが、悲しいことに、これすらままならなかった。


今、私は死の床についている。なんと、今になった初めてわかったのだ。変えなければいけないのは、自分自身だったのだと。自分が変われば、家族も変わっただろう。


そして家族に励まされ支えられることで、国をよくすることもできただろうし、やがては世界を変えることすらできたかもしれないのだ


変わらなければならないのは、誰ですか?



「何の束縛もない若かりし頃、想像は果てしなく広がり、私は世界を変えることを夢見ていた。ところが、年を重ね賢くなり、世界は変わらないことに気づいた。そこで、目指すものをもう少し近いものにして、自分の国から始めることにした。


だが自分の国も変わらなかった。


老年期に入り、私の願いは悲痛な思いに変わった。自分の国もだめなら、少なくとも、最も近くにいる家族を変えることにした。