第2727冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • ガラスをきれいに、塗装を新しく、照明をつけて


ガソリンスタンドも、どこでも同じ商品を売っているという点で、銀行によく似ている。賢いスタンド経営者は、照明が明るいスタンドほどドライバーはガソリンを入れたいと感じることを、経験から学んできた。隣り合ってふたつのガソリンスタンドがあり、一方は照明が明るくて手入れが行き届き、もう一方は照明が暗くて手入れが悪いとき、たとえガソリンの値段が少しだけ、一セント二セント高かったとしても、みんな明るくてよく手入れされたスタンドのほうに入っていく。なぜだろうか? 安全だと感じるからだ。物質がエネルギーに等しいように、完全は快適さに等しい。安全でなくなると、快適ではなくなる。十分に不快な業態になると、脳は自分が安全ではないと判断するようになる。


この快適/安全の方程式は、ぎゅうぎゅう詰めで身動きの取れないエレベーターや切り立った崖の縁から、靴の中のサソリまを見つけたときまで、あらゆる状況で通じる。私が以前に働いていた大学では、キャンパスにある駐車場を利用する人が少ない理由を、学生たちに尋ねてみるまでもなかった。尋ねられたときの答えは実に簡単なもの――街灯が足りないから。学生たちは照明の暗い駐車場より、街灯が明るく照らされた路上に駐車するほうを好んでいた。照明は単なる快適さだけの問題ではない。照明は防犯にも大きく役立つため、適切な照明を怠ったとして訴えられた企業は多い。


安全は売り物になる。人は安全だと思うと快適に感じるからだ――自動車業界は車にエアバッグを装着したとき、それに気付いている。安全の話になるとエアバッグは一個では足りないらしく、私の車には六個もある。十分な安全装備ほど、特に子どもを乗せているとき、快適さを感じさせてくれるものはほかにはないから、人々はかなり高い金額を支払うこともいとわない。