第2261目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)」


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則

  • 準備の時間をとる


多くの人が十分に力強い印象を与えられないのは、不安や動揺を抱えたまま話しはじめるからだと考えられる。演劇学校で教えるビル・イングリッシュは、俳優の卵にこんな訓練を課す――君はある大手製薬会社の新任CEOだ。前任者は不正疑惑で更迭された。おまけに会社は、安全上の理由からある医薬品のコールをしなければならない。社内は混乱し、社員はリストラに遭うのではないかと怯えている。そこで君に、社員の信頼を取り戻し、士気を高め、自分をリーダーとして認めさせるようなスピーチをしてほしい。


この課題をうまくこなす生徒は、共通点がある。聴衆を前にして重圧を感じているにもかからわず、見ている方がかなり長いと感じるほどの間をとって考えをまとめるのである。何を話すかを決め、空間をどう使いどんな動作をすれば効果的かを考え、その間に自分を落ち着かせ、本来の力を発揮できるようにする。重要な発表を行う前に十分な時間をとれば、それに越したことはないが、緊急事態などで準備ができない状況は大いにありうるし、予想外の質問が飛んできてその場で応えなければならないときもあるだろう。そんなときは深呼吸し、心を鎮める時間をとるとよい。そうすれば、無防備にいきなりしゃべり出すよりはるかによい結果が得られるだろう。