第2191冊目 ユマニチュード入門 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著), イヴ ジネスト (著)
- 作者: 本田美和子,ロゼットマレスコッティ,イヴジネスト
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2014/06/09
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (10件) を見る
- コミュニケーションの原則
言語によるメッセージを送ると、通常は受取り手から、言語あるいは非言語による意味のある返答(フィードバック)が返ってきます。これはたとえば言葉による返事であったり、相づちを打ったりする行為です。送り手はこのフィードバックを通じて相手が自分を理解してくれていると感じます。それが、次に自分が言葉を発するためのエネルギーになっているといってもいいでしょう。
言語的なものであれば非言語的なものであれ、こうした意味あるフィードバックがなければ、つまり返事もなく、うなずいてくれなければ、メッセージの送り手はコミュニケーションをあきらめてしまうのは当然のことです。
たとえば自分の仕事である入浴介助業務はしっかりやっていても、ケアを受ける人へのまなざしはなく、言葉もかけていないことがよくあります。これはケアする人たちが、「相手が応答してくれないので、こちらも話しかけなくてもいい」という罠に落ちてしまっているのです。
しかし、ケアをする人はケアを受ける人に「あなたはここにいますよ」というメッセージを送らなければなりません。すでに述べたように、フィードバックをくれない人に対して言葉をかけなくなるのは、日常的なコミュニケーションにおいてごく普通のことですが、ケアをする人には何か別の方法が必要になってきます。