第2191冊目 ユマニチュード入門 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著), イヴ ジネスト (著)


ユマニチュード入門

ユマニチュード入門

  • コミュニケーションの原則


言語によるメッセージを送ると、通常は受取り手から、言語あるいは非言語による意味のある返答(フィードバック)が返ってきます。これはたとえば言葉による返事であったり、相づちを打ったりする行為です。送り手はこのフィードバックを通じて相手が自分を理解してくれていると感じます。それが、次に自分が言葉を発するためのエネルギーになっているといってもいいでしょう。


言語的なものであれば非言語的なものであれ、こうした意味あるフィードバックがなければ、つまり返事もなく、うなずいてくれなければ、メッセージの送り手はコミュニケーションをあきらめてしまうのは当然のことです。


たとえば自分の仕事である入浴介助業務はしっかりやっていても、ケアを受ける人へのまなざしはなく、言葉もかけていないことがよくあります。これはケアする人たちが、「相手が応答してくれないので、こちらも話しかけなくてもいい」という罠に落ちてしまっているのです。


しかし、ケアをする人はケアを受ける人に「あなたはここにいますよ」というメッセージを送らなければなりません。すでに述べたように、フィードバックをくれない人に対して言葉をかけなくなるのは、日常的なコミュニケーションにおいてごく普通のことですが、ケアをする人には何か別の方法が必要になってきます。