第2064冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 開いた瞳孔、アーチ型に上がった眉、まん丸目玉


快適な気持ちを表現する目の表情はたくさんある。幼い子どもなら、母親を見たときに目が心地よさを物語るだろう。赤ちゃんは生後七二時間以内に母親の顔を追うようになり、部屋に母親が入ってくるだけで赤ちゃんの目が大きく開いて、関心と満足感を表現する。愛情あふれた母親も同じように心地よく見開いた目をしているので、赤ちゃんはその目を見つめて安らぎを得る。大きく開いた目は快適さのサインで、その人が快適を失う何かを見ていることを伝えるものだ。


瞳孔が閉じるのとは逆に、満足して快適に感じている人は瞳孔が開く。脳が、「見えるものが大好きだから、もっとよく見せて!」と言っているわけだ。目に入ったものに心から喜ぶと、瞳孔が開くだけでなく、眉が(アーチ型に)上がり、目のまわりが広がって目が大きく見えるようになる。さらに、目をできるだけ大きくあけて、まん丸目玉と言われるほど大きく見開く人もいる。驚きや嬉しい出来事と結びつけられる大きな目だ。これもまた、心地よさを表す、重力に逆らう行動のひとつの形と言える。

  • まん丸目玉が消えるとき


好きな人を見かけたときや、しばらく会っていない人にバッタリ出会ったとき、私たちは目をできるだけ大きくあけると同時に、瞳孔も開くことが多い。仕事の場面で、上司が目を大きく見開いてこちらを見ているなら、上司に好意をもたれているか、上司からとてもいい仕事をしたと認められたと考えていいだろう。


この肯定的な表情を利用して、自分のしていることが正しいかどうかを判断することができる。恋愛でも、仕事でも、友人関係でも応用が可能だ。たとえば、デートの相手を憧れのまなざしで見つめている、恋する少女の大きな夢見る瞳はどうだろう。目を見てみよう。その目が大きければ大きいほど、ものごとはうまくいっている! その反対で、目が細くなる、眉が下がる、瞳孔が閉じるといった具合に、目が小さくなる様子が見え始めたら、考えなおして行動の戦術を変えるほうがよさそうだ。ここでひとつ注意点をあげておきたい。瞳孔の開閉は、感情や出来事とは関係なしに起きることもある。たとえば、光線の変化や病状、薬なども原因になり得る。これらの要因を正しく考えに入れなければ、誤った結論に達してしまう恐れがあるだろう。