第2060冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 足が伝えるさよならの合図


二人の人が立ち話をしているときには、向き合っているのが普通だ。でも一方が足先を少しそらせたり、片足をしきりに外に向けて(片足の先が相手を向き、もう片足の足先が直角に外を向いて、L字型になるように)動かしたりしているようなら、その人は話をやめて、どこか別の場所
に行きたがっている。このような足の動きも、これからやろうとしてることの手がかりになる胴体は、礼儀正しく相手に向けたままかもしれないが、足はもっと正直に、辺縁系の必要としていることをやり遂げたいという願望を反映する。


最近、五時間近くも依頼人といっしょにいたことがある。別れ際に、その日おの相談の内容を振り返って検討していた。互いの意見を平等に出し合う会話だったが、私はその依頼人の片足が直角に外を向き、片足だけでどこかに行きたがっているように見えるのに気付いた。そこで私は、「今すぐ、どこかに行かなければならない用事があるのでは?」と訊いてみた。「そうなんです」と、相手はすぐに認めた。「申し訳ありません。失礼があってはいけないと思ったのですが、ロンドンに電話しなければならない用事があって、もう五分しか時間がないんです!」この場合、依頼人の言葉も体の大部分も、間違いなくそこにいるのが心地よいことを伝えていた。でも足は最も正直で、そこにいたいのは山々だが、どうしても行かなければならない用事があると、はっきり訴えかけていたのだ。