第2012冊目 「権力」を握る人の法則 [ハードカバー] ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則


ロン・メイヤーは、一九九五年以来ユニーバサル・スタジオの社長兼最高執行責任者(COO)を務めている。大手映画会社のトップとしては最長不倒記録だ。メイヤーは映画業界の重鎮であるが、その道のりは平坦ではなかった。彼は一五歳のときに高校を中退し、海兵隊で数年を過ごす。その後、とある芸能プロダクションに運転手として雇われ、耳学問で芸能界について聞きかじった。そして世界最大の総合芸能エージェンシーであるウィリアム・モリスで、エージェントとして働きはじめる。やがて独立して友人とクリエーティブ・アーテゥスツ・エージェンシーを設立。次第にハリウッドで頭角を現していった。


メイヤーをはじめ成功者と呼ばれる人の多くは、人生の針路を大転換した経験を持つ。それができたのは、権力や影響力を獲得するには何が必要かを考え、自らを変える努力をしたからである。メイヤーを見習うためには、三つの障害物を乗り越える必要がある。第一は、自分を変えるのは可能だと信じること。そうでないと、変えようという気にすらならないだろう。自分を変えるのは容易ではないから、あるがままの自分でいい、ということになりやすい。第二は、自分自身を客観的な目で見つめ、いいところも悪いところもしっかりと認識することである。これは、むずかしい。人間は自分のことをよく思いたい(例の自己高揚動機である)からだ。このため、耳に痛い情報は聴かなかったことにして、都合のいい情報ばかりに注意を集中しがちである。第三は、権力や影響力を獲得するのに最も重要な資質は何かを理解することである。時間もエネルギーも限られているのだから、そのいちばん重要なものの開発に集中投下する方がよい。