第921冊目 心を上手に透視する方法 [単行本(ソフトカバー)]

トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)

心を上手に透視する方法

心を上手に透視する方法

プロポーズにうわの空でイエスと返事をしても、相手は満足しない

何をしていても、私たちは何らかの形で行動している! そして周囲に向けて、常にシグナルを送っている。地下鉄に乗ってじっと立っているときや、ゆっくりと静かに新聞を読んでいるとき、床をじっと見ているときですら、あなたの行動は何かを表現している。

バロアルト・グループのメンバーで、コミュニケーションを研究した著名な心理療法家のポール・ワツラウィックは、「私たちはコミュニケーションをしないでいることはできない」と言った。

ここで大切なのは、周囲のたちが出すあらゆるシグナルを正しく解釈し、また自分自身がでしているシグナルの認識の仕方を学ぶことだ。僕がコミュニケーションをテーマに開催したあるセミナーの参加者は、まさにこのテーマの核心をついてこう言った。「コミュニケーションとは、我々が何を言うかではなく、ほかの人にどう受け取られるかです」。どう受け取られるのか、そこから、次の反応が生じてくるのだ。

どんなコミュニケーションでのプロセスにおいても、メッセージが発せられるレベルがいくつかある。このテーマでは、以下の3つのレベルが特に重要である。

①内容のレベル(つまり発せられた言葉の意味)
②声のレベル(大きな声、小さな声、話のスピード、震えがちな声、はっきりとした声など)
③身体言語のレベル(表情、身ぶり、姿勢)

これに関して、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のアルバート・メラビアン教授が調査を行い、興味深い結果が出た。メラビアンは、声と身体言語が、相手にどれほど影響を与えるのかに関心をもった。

調査の結果はこうだ。ある発言の内容そのものから伝わるのは、たったの7パーセントだ。残りの93パーセントは、身体(55パーセント)と声(38パーセント)によって伝えられる! どうやら、もっと正確に聞き取り、もっと正確に観察するだけの価値はありそうだ。