第3988冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

指示を出してもわかっていない部下

 

 リーダー職員の指示に「わかりました」と言っているが、その通りに動かない。なぜこうした事態が発生するのか。原因として考えられるのは次の二つだ。

 

一つは、リーダーとの関係性に何らかの問題が潜んでいるケース。もう一つは、本人の理解が不十分でわかっていないケース。

 

前者のケースの場合、リーダーは積極的に関係性の改善に努めなければならない。具体的には次のような取り組みに着手していく。

 

指示がわからないとき、気軽に「実は、よくわからなんですけど」と言えるような関係づくりに努める。

 

部下と相対するとき、どのような表情を見せているか、またどのような言葉遣い、態度、姿勢を示しているか、点検する。問題がある場合はただちに修正する。

 

自分のちょっとした物腰のなかに、相手を不安にしたり、萎縮させたりするような言動がある場合は、速やかに修正する。

 

関係性の改善に取り組んだうえで、プロフェッショナルな職業人としての自覚を促すようなアプローチもあわせて行う。部下は指示を理解しないままでいると、指示に従った行動をとることができない。利用者に迷惑をかけるという事態が発生することがあるから、「わからない」状態をそのままにしないのはプロとしての鉄則だということを明確に伝える。

 

後者の、本人は「わかった」と思い込んでいたが、実は「わかっていなかった」ケースは、次にような取り組みが必要になる。

 

部下に対して出した指示が理解しやすいものとなっているか、確認する。わかりにくいものである場合は、伝え方を工夫する。「何を」「いつ」「どのような手順は方法で」「どのレベルまで行うのか」、相手が具体的にわかるような形で指示を出すようにする。

 

リーダーである自分が出した指示を、復唱してもらい、正しい理解であるか、確認する。

 

指示の聞き違いが多いにもかかわらず、指示内容をメモする習慣がない部下に対しては、メモを取るように伝える。例えば、「この点は大事なところなので繰り返します。メモを取っておいてください。そのほうが後で確認できますから」と伝え、確実にメモを取るよう指示する。