第3987冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

-口だけ立派な部下

 

口だけ立派で、行動が伴っていない人は他者から信頼されない。常識レベルのごく当たり前の話だ。口だけ立派な状態の人は、この当たり前のことが理解できない。なぜか。何か発言することだけが自分に任されたことであり、行動を起こす責任があるという点を、学んでいないからだ。

 

口だけ立派な人を、この状態から解放するには、次のような手順と方法で、行動を起こすよう促していくことが必要となる。

 

第一プロセスは、口だけ立派な発言があったあとに、具体化に向けた計画を立案するよう要求するというもの。例えば、「入浴介護について見直すべきだとずっと言い続けているんですけど、全然変わっていない。絶対変えるべきです」と、発言をした職員には、こう声をかける。

 

「私も、入浴介護の手順と方法は見直さないといけないと思っていたところです。ぜひ実行に移したいと思うので、具体的な計画を作成してもらえませんか。今日はいい考えを示してもらって本当によかった。具体的な計画は、来週の火曜日までということでお願いしますね」。

 

職員はいつものように、具体的な行動を示すつもりなく発言したのだが、そのままで終わらぬよう、具体案の作成をお願いする。ポイントは、まずは本人の意見を認めて評価する。そのうえで、依頼をするという手順。

 

具体的計計画を提出してくれたら、第二プロセスに取りかかる。計画内容について話し合い、修正が必要な場合は、アドバイスをしたうえで本人に計画実行の責任者となってもらい、実施するよう依頼する。例えば、こんな具体に。

 

「いい案を作ってくれてありがとうございます。善は急げというので、この案で来月から始めましょう。実施に当たっては、ぜひあなたが中心メンバーとなってください。新しいやり方なので、全体の流れがわかっている人が責任者になるほうがわかりやすいですからね。新しい入用介護の方法に関する打ち合わせは、来週の水曜日にしましょう。そのときに説明をお願いしますね」。

 

その後は、第三プロセスの計画の実施に進む。第四プロセスは進捗状況の確認。問題が生じた場合は修正案の立案、実施となる。こうした手順で、言ったことを行動に移す行動習慣をマスターしてもらうようにする。