第3985冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

 

 ー何を考えているかわからない、「最近の若い人」部下

 

ある一定以上の年齢層の人にとって、「最近の若い人」の考えが理解しづらくなったのは、今に始まったことではない。

 

いつの世も、「最近の若い人」は、常に新しい何かを生み出す重要な存在であった。彼らが生み出す斬新なアイディアは、世の中は発展してきた。「最近の若い人」が新しい何かを提案することをやめてしまったら、社会の発展は間違いなく止まり、進歩しなくなる。それにもかかわらず、前の世代が新しい世代の提案に戸惑ってしまうのは、前例がない新しい提案をしてくるからだ。

 

シンクタンク・ソフィアバンク代表を務める藤沢久美氏のことばを借りれば、「最近の若い人」は「その時代にないものに対してハングリー」な存在と表現できる。異なる世代の人が若い世代をみて、「物足りない」と感じることがあるのは、若い世代が何も求めるものがないからではない。若い世代が自分たちの世代とは異なる新しい何かを渇望しているからである。若い世代は「何か新しいものを生み出したい」「何かやり遂げてみたい」という思いを、心の奥底に秘めている。かつて、上の世代の人が若い世代であったときと同じように、だ。

 

リーダー職員に求められるのは、その思いを引き出し、理解するための努力だ。「何を考えているかわからない」で終わるのではなく、わかるようになるための工夫をする。本人自身も気づいていない思い、整理されていない思い、を探り出していく。「実はあなたはステキなアイディアをもっている」という点に気づけるよう働きかけを行う。こうした取り組みを通して、彼ら一人ひとりがもつ素晴らしい力を引き出していく。

 

ではどうすれば、力を引き出せるリーダーになれるか。ここでは、すぐに使えるテクニックを紹介する。自分の思いを簡易レポートに書いてもらう方法だ。「この職場で何をしたいのか」「何を実現したいのか」、簡潔にまとめてもらう。たくさん書いてもらう必要はない。A4用紙一枚の分量で十分だ。

 

この取り組みが目指すところは、思いの“見える化”である。この課題にチャレンジしてもらうことによって、もともともっていた思いあるいは整理していなかった思いを“見える化”させていくのだ。

 

大事なのは、この課題に取り組んだ後のフィードバックである。その思いを実現するために何をしてくのか、具体的な行動計画(アクションプラン)についてアドバイスする。

 

こうしたアプローチをしていけば、最近の若い人の考えを引き出し、サポートできる。頼りがいのあるリーダー職員に変貌を遂げることができる。ぜひチャレンジしてほしい。