第3973冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

人の威光を笠に着る姿勢を少しでも見せると、部下からは、力がないのに威張り散らす情けない上司とみなされ、尊敬と信頼は得られなくなる。

 

虎の威を借るような行動を示し始めると、感覚が麻痺してくる。実は他者が自分の指示に何も言わず従ってくれるのは、自分にリーダーシップがあるからではなく、背後に威厳のある人がいるからだ、ということに気づかなくなる。自分を過大評価する姿勢に陥りやすいので要注意。

 

業務に一切関係のない職員のプライベートを根掘り葉掘り聞くような行為は、聞き方や聞く際の態度によっては、人権侵害や後輩のプライベートに不用意に立ち入らないよう心がけなければならない。

 

リーダーシップを発揮する立場になったら、リーダーとして何を他の職員と情報共有する必要があるか、リストアップし、整理する作業に取りかかる。続いて、情報共有がスムーズに行くようにするためにはどうすればよいか、具体的方法の確立に向けて知恵を絞る。

 

 評論活動に終始するのは、リーダーの仕事ではない。やるべきことを的確に把握し、実行に移す。そして、やり遂げていくことをこそが、リーダーが果たすべき使命である。部下とともに、やるべきことを成し遂げ、成果を積み重ねていく。担当するチーム、部門、部署が着実に成果をあげられるようなサポートをしていくことが、リーダーには求められているのである。

 

リーダーが部下・後輩にまず伝えなければならないのは、組織が掲げる理念や広く認知されている福祉理念、職業倫理に基づくリーダーとしてのビジョンであり、思いだ。そして、ビジョンに向かって進むための、具体的なアクションプラン(行動計画)についても言及する。「何を」「何のために」「いつからいつまでの期間い」「どのような手順や方法で実現していくのか」について、明確な見通しを示さなければならない。

 

目標達成に向けたアクションプランは、リーダー単独で作る必要はない。他の職員との協働作業で作りあげてよい。一緒に作っていけば、職員の育成につながり、職員との一体感の醸成につながっていく。

 

 

部下や後輩が自分の指示を理解してくれないという事態に直面したときは、相手を責めるという姿勢を示すのではなく、指示の出し方に問題がないか、まずは振り返る姿勢をもつ。

 

自分の指示の出し方、すなわち、伝え方に問題があることがわかった場合は、理解につながるようなコミュニケーションの工夫をする。具体的には、指示を出す前に、何を伝えたいか、なぜそれを伝えたいと思っているか、確認する。そのうえで、「何を」「何のために」「いつからいつまでに」「どのような手順や方法で」などを意識しながら、伝えるようにする。

 

部下に、「何を」「どうするのか」、考えてもらう場合であっても、指示を出す上司自信(リーダー自身)が「何を」「どうすることを求めるのか」という点について見当をつけておくことが必要だ。そうでなければ、指示を受けて、部下が動き始めたとき、期待通りに動いているか、判断できないからだ。また、途中で質問を受けたとき、「何を」「どうするのか」、明確な指針が示せないからだ。