第3959冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

職業人としての基本的姿勢を再確認する

 

 

「部下・後輩との関係において、思いを気軽に伝えあえる関係、気兼ねなく思いを表明しあえる関係を築きあげる」という点が不十分な場合は、何が原因で、部下・後輩と思いを伝えあえない状況になっているか、精査することが必要となる。原因が、部下・後輩の声や重いに真摯に耳を傾ける姿勢が示せていない点にある場合は、コミュニケーション技法について学び、適切な傾聴の姿勢を学ぶよう努めなければならない。

 

傾聴の際の基本は、常に相手の立場にたって考えること。もし自分が部下・後輩であれば、どのような態度、姿勢、表情で話を聞くと、心地よく話ができるという印象を受けるのか。十分に話をきいてもらったと感じるか。こうした点を相手目線で考えたうえで、聞く姿勢の改善に努める。

 

ともに働く同僚、部下、後輩と厚い信頼関係を築くためには何が必要か、十分な知識がないという点が明らかにあった場合は、信頼関係の構築に向けた知識と技術の習得が喫緊の課題となる。

 

「部下・後輩がこのリーだーであればついていきたい」と心の底から思える人望力を身につける」という点が不十分な場合は、どうするか。まず自己の業務レベルの向上に向けて行動を起こすことが必要になる。一つ一つ順番に業務レベルの向上を図っていく。どの業務から自分磨きに取りかかればよいのか迷う場合は、利用者への言葉遣い・態度、他職員への言葉遣い・態度、基本的姿勢(あいさつ、表情、身だしなみ、立ち居振る舞い)といった職業人としての基礎力強化から始めるようにしよう。

 

相手を「認める」「感謝する」「ねぎらう」姿勢の習得

 

部下・後輩との関係において、相互に信頼しあえるゆるぎない人間関係の構築を実現するという点が不十分な場合は、他の職員に接する際の基本的態度のチェックに取りかかる。不適切な部分がある場合は、すぐに改善に向けた行動を起こす。

 

続いて、取り組んでほしいのは、安心感を与える基本姿勢の習得だ。相手を大切にしているということがわかるような接し方を覚えることだ。ここでは、最も効果的でシンプルな方法を紹介する。それは、部下・後輩の働きや存在そのものを「認める」「感謝する」「ねぎらう」ことを接する際の基本とするという方法だ。日々接するすべての人に、この基本姿勢で接する。相手に、自分が心から「認める」気持ち、「感謝する」気持ち、「ねぎらう」気持ちが伝えるよう行動を起こす。

 

例えば、連絡ノートを書いてくれた後輩職員がいる場合、連絡事項のところに、「連絡ありがとう!」と書き込んだ付箋紙を貼り、感謝の言葉を伝える。もちろん、勤務中、すれ違いざまに、「連絡ノート、読みましたよ。ありがとう!」と直接伝えるのもよい。出勤時に他の職員に笑顔であいさつするのも効果的。あいさつは相手の存在を大切に思い、認めているというメッセージを送る行為であるからだ。