第3881冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

これらの経験が「どんな態度や姿勢であいさつをするか」に影響を及ぼす要素となっている。

 

注目すべきは、長い年月をかけて、生活習慣の一つとして身につけたあいさつの際の姿勢や態度が、現在の職場のなかで、望ましいものになっているとは限らないという点だ。福祉の職場を訪ねると、あいさつという基本動作が十分にできていない職員に出会うケースが少なくない。

 

もしリーダー職員として働く職場のこの状況になるとするならば、即座に行動を開始しなければならない。万が一、初任者研修に、あいさつについて明確に盛り込まれていない場合は、可及的速やかにプログラムのなかに組み入れるようにしよう。

 

新たな職場で働き始めるというのあh、新卒者はいうまでもなく、既卒者(あるいは社会人としての経験が長い人)にとっても、重要な転機になる。この大切な機会を見逃してはいけない。採用後には、気持ちよく感じるあいさつはどのようなものか、どのような動作、所作、作法が必要とされるか、教えるようにする。もちろん、よき手本を、リーダー職員が日々の業務のなかで、見せ続けなければならないのはいうまでもない。

 

すでに働いている職員が、適切なあいさつができていない場合は、組織全体で、あいさつの大切さを確認する。朝のミーティングなどの時間を利用して、お互いに目を合わせ、周りの職員にとびきりの笑顔であいさつするような指示を出すのも有効な方法だ。大事なのは、個人にも、組織にも、よき習慣となるよう働きかけ、定着させるように、リーダー職員が率先垂範に努めることである。

 

同時に、職員に明示してほしいのは、どのような言動が他の職員を不安にさせるかという点だ。ともに働く職員を不安にさせたり、活気や明るさを奪ったりしないようにするために、決して示してはいけない言動を具体例をあげて示すようにする。「他の職員を傷つけぬよう自分の言動に注意しましょう」と部下・後輩に働きかけるだけでは、効果はほとんどない。「よし、わかった。これからは気をつけよう」といった表面的な理解で終わる。

 

そうならないようにするために、どのような言動が人を傷つける可能性があるのか、明示することが必要になる。