第3863冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

-防止策を講じる

 

不適切な行為に陥りやすい人たちの特徴を把握すれば、防止策に向けた取り組みに着手できる。まずおすすめは、部下・後輩に、当該事務所でどのような職員になることが求められているのか、「目指すべき職員のイメージ」を明確に伝えるという取り組みだ。職員会議をはじめとしたミーティングの時間や職場内研修の一部の時間を使って、具体的イメージの伝達に努める。

 

「目指すべき職員のイメージは」は、不適切な業務に手を染めやすい人の思考・行動特性とは反対の思考・行動特性を例示すればよい。

 

続いて取り組まなければならないのは、接遇や業務姿勢に関する職場内の決め事の伝達だ。あわせて、各種業務の取り組み方とその際に遵守すべき事柄、留意すべき事柄を伝達する。手順書、規定などに基づいて、どのような態度や姿勢、手順で業務を行っていくのか、説明を加えていく。

 

不適切な行為に手を染める職員が出てくる最も大きな原因の一つは、職場内の決め事、業務遂行上のルール、手順書などが、十分な形で共有されていないことにあるケースが少なくない。

 

もし、接遇や業務姿勢に関する決め事が存在しない場合、速やかに作成に取りかかる。わかりにくかったり、現状に即していない不十分なものである場合は、バージョンアップに取りかかる。業務手順書があまりにも膨大で読む気が失せるような場合は、簡易版を作成する。

 

こうした取り組みを積み重ね、職員が質の高い業務遂行ができる環境を作りあげていく。正しい業務遂行ができる環境の整備に日々努め、管理感触者が、職員を注意する必要がない環境を作りあげていく。職員が不適切な行為に手を染めるという事態の発生を、可能な限りゼロにしていく。

 

 

相手の心に響き、行動改善につながる注意の仕方を学ぶ

リーダーであるかぎり、職員が不適切な行為を示す事態は、限りなくゼロにしていかなければならない。

 

が、現実は甘くない。不適切な行為を示す職員の数は減らせても、ゼロにするのは容易ではない。どんなに防止策を講じても、リーダー職員が毅然たる態度で、誤った業務スタイルに陥った職員を注意しなければならない事態は必ずといっていいほど発生する。

 

だからこそ、リーダー職員は部下・後輩を注意するとき、どのような方法で行うか、正しい知識とスキルを身につけておかなければならない。